73.起きない ページ35
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No side
「あ、Aちゃん寝てるー！」
「本当だ！」
「お風呂入ってる時寝かけてたからね…。」
写真撮ろー！とはしゃぐ葉隠と芦戸の姿に苦笑いする耳郎。お風呂で寝かけたのがかなり衝撃的だったのだろう。
普段はハーフアップしている髪の毛は、お風呂上がりということもあって下ろしている。綺麗に手入れされた髪の毛を麗日がくるくると指に巻きつけていた。
「それにしても真宮、ほんとに顔整ってるよね。」
「入学式で見た時、なんやこの美少女は！って驚いたんよ。」
「わかる！」
Aの話で盛り上がる女子達。もちろんその話は男子達の耳にも入っており、いつもよりどこか幼い顔に数人の目が彼女を捉えていた。
「ぶっちゃけさ、真宮と緑谷って付き合ってんの？」
「え、ぼ、僕！？」
突然の上鳴からの質問に狼狽える緑谷。それ私も気になってた！と芦戸までが話に身を乗り出してきた。
「い、いやただの幼なじみだよ…。」
顔を赤くして否定する緑谷に、淡い期待を抱く2人。だが彼には女子への耐性がなく、恋バナにも耐性が無さそうなことから、その期待は一緒で砕かれた。
「誰か好きな奴いねぇのかよー？」
緑谷への質問を皮切りに、話題が恋愛へと変化していく。好きなタイプは、付き合ったら何をしたいか、などの質問が続いた。
「皆、そろそろ就寝時間だぞ！」
このクラスで付き合うとしたら、という最も盛り上がる話題に差し掛かったところで、飯田の声が響いた。
いつもならどうにか話を続けようとする芦戸も、相澤先生との補習が待っているためか大人しく引き下がった。
「おーい、Aちゃーん。」
「1度お部屋に帰りましょう。」
「んん…。」
「…ケロ、起きないわね。」
一度寝たらなかなか起きず、起こす声も耳に入らない。そんな彼女の性格をよく知っている緑谷は苦笑いを浮かべていた。
「俺運ぼうか？」
「砂藤くん！」
「真宮起きなさそうだし、お願いする？」
「任せろ。」
パワー系の個性を持つ彼であれば、軽々運んでくれるだろう。そう考えた女子達は、砂藤に頼ることにした。
「そ、それならオイラが…！」
「いや、俺が！」
「上鳴あんた補習は？」
「俺も運べるぞ。」
「ぼ、僕も…。」
砂糖に続く緑谷や轟の申し出に、女子達が困惑する。峰田は願い下げだが、2人の好意を無下にもできない。
どうしようか、と頭を悩ませた時だった。
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
