71.ババ抜きトーナメント ページ33
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「ねぇねぇ、せっかくなら男子部屋行かない？」
「いいねー！トランプでもしようよ！」
A組の盛り上げ担当の2人からの提案で、女子全員で男子部屋を訪れることになった。夕食の時の切島くんの話によると、男子は大部屋らしい。
「やっほー！」
「遊びに来たよー！」
「お、お邪魔します…。」
突然の女子の訪問に驚く男子達。まさか本当に来るとは思っていなかったのだろう。
透ちゃんの持参したトランプを用いてババ抜きトーナメントを行うことになった。というか、全員でやろうとしたら人数が多すぎて手持ちが2枚ほどになってしまったため、渋々トーナメントに変更していた。
「じゃあ第一試合、開始ー！」
三奈ちゃんの一言で、透ちゃんがトランプを配り始める。
最初のメンバーは座り順に私、上鳴くん、かっちゃん、口田くん、砂藤くん、透ちゃん、青山くんの7人だ。かっちゃんが参加するのが意外だが、まあ誰かに焚き付けられたのだろう。
1番手持ちの多い青山くんのカードを私が引いて、トランプ大会はスタートした。
「お、揃ったよっしゃ！次爆豪だぜ。」
最初の方は特に滞りもなく、スムーズに皆引いていく。
「次は僕だねっ！まあ、この僕が引くんだから＿」
「青山くんわかりやす！」
その途端、青山くんの放っていたキラキラオーラが消え去る。誰もが、ジョーカーを引いたとわかる瞬間だった。
次は私が青山くんから引く番。だがあまりにも顔に出ているおかげで、どれがジョーカーかすぐにわかってしまった。
その後も順調に数を減らしていく。2周してもジョーカーを引かない私に、青山くんはカードを見ないようにして対策してきた。
「…。」
「…！フフン。」
輝きを取り戻した青山くんと対照的に、上鳴くんの顔が曇っていく。
「はい。」
「まじかよ！！」
残り2枚しかない私のカード。つまりこれは、私と上鳴くんの駆け引きである。
「こっち？いやこっち！待てよ、やっぱり…。」
「いいから早く引けや！！」
なかなか引かない上鳴くんに痺れを切らしたのか、待ち構えるかっちゃんがキレ始める。
「だって真宮1ミリも表情動かねーんだよ！！ええいもうこっち！ああぁぁあ！」
「寄越せ！」
私の手からジョーカーの方を選んだ上鳴くんは、頭を抱えながら叫ぶ。キレるかっちゃんはカードをぶん取り、なんとそのまま一抜けしてしまった。
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
