69.休憩所…？ ページ31
＊
濃い1学期が終わり、林間合宿当日となった。
「ポッキーいる人ー！」
「なんか音楽でも流そうぜー。」
「席は立つべからずなんだ！」
相変わらずのA組に林間合宿前に抱いていた不安が薄れる。
「騒がしいな。」
「ね。」
私の隣は、轟くん。というのも、A組の女子は7人と奇数であり、女子と隣に座ることができなかった。まあ私は基本寝ているだけなので、あまり気に留めていないが。
「ふわぁあ…。」
「眠いのか？」
「バスって眠くならない？」
「…あんまり。」
「ならないか。」
冷房の効いたバスの中は少し寒い。リュックに入れていたパーカーを取り出し、制服の上に羽織る。段々と体が温まり、重くなる瞼に逆らうことなく目を閉じた。
「…みや。真宮。」
「ん。」
「もう皆外に出たぞ。」
「ここどこ…。」
しょぼしょぼして上手く見えない目を薄く開け、まだ冴えない頭から言葉を絞る。
「休憩所だそうだ。」
「……ここが？」
休憩所、と轟くんは言ったが、窓から見える景色は山一色。山の中を走っていたとしても、休憩所なら建物の一つや二つ見えるはずなのに、それも見当たらない。
「ねえ、多分だけどここ…。」
休憩所じゃない、と言おうとした途端、バスの外から悲鳴が聞こえてくる。
「！？なんだ」
慌てて外に出ると、変化した地面に下へと落ちていくクラスメイト。よくわからない光景に目を白黒させていると、隣に相澤先生が立っていた。
「起きたか。お前らも早く行け。」
「うおっ…！」
近くにいたはずの轟くんが崖の外に放り出される。
地面がグネグネと動き、私も崖の側へと移動させられた。
「お前は土で捕まえて落とすことが出来ないからな。自分で降りろ。」
「……この高さを？自ら飛び降りろと…？」
「ああ。検討を祈る。」
先生の目が早く行けと光る。飛び降りる怖さよりも先生の恐怖が勝ち、私は自ら崖の下へと飛び降りた。
「＿＿＿っ！！」
地面と衝突する、と言うところで轟くんに抱き抱えられる。前もこんなことあったな。
「大丈夫か。個性で助けようかと思ったんだが…。」
「…私に使えないもんね。ありがとう。」
目の前には、すでに土獣と戦うA組の姿。
「俺らもやるか。」
「うん。」
攻防を続ける仲間を助けるため、戦いに飛び込んで参加する。私も職場体験で学んだ体捌きを使いながら、次々と襲いくる土獣に攻撃して行った。
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
