64.コミュニケーション能力 ページ26
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「おい、どうした真宮！個性使え！」
「無理！！」
身動きの取れない私は、振り向いたことによって完全に相澤先生と視線を合わせてしまった。私の一瞬の隙を見逃すはずもなく、すぐに全身が拘束され、轟くんと同じように吊るされる。
「ああそうだ、伝え忘れていたが、視線を合わせた後10秒ほどはたとえ逸らしても俺の個性が効くらしい。あの時は興味本位だったが、試しておいて良かったよ。」
その言葉とともに地面にマキビシを投げつけ、私たちが簡単には落下出来ないようにさせる。
「ずいぶんと負担の偏った策じゃないか。女の子を慮るのは立派だがもう少し話し合っても良かったんじゃないか？真宮、お前もだ。主張しろ。2人とも、コミュニケーション能力が不足してるな。」
そして相澤先生は轟くんの言葉によって逃げていったヤオモモを探しに行ってしまった。
「他人の個性の攻撃は受けないんじゃなかったのか？」
「そう思ってた。けどこの前相澤先生と試したら、視線が合わさってる間は私も個性が使えなくなるみたい。ごめん、先に言っとくべきだった。」
「いや、俺も同じだ。1人で突っ走りすぎた。悪ィ。」
「…相澤先生の個性だけど、瞬きしてから再び見るまでに時間が前よりかかってる。たぶんまだ万全じゃない。」
「なるほど。」
私たちのもとに、ヤオモモが走って戻ってくる。まだ、自分の考えに自信を取り戻せていないのだろう。
「八百万！！何か、あるんだよな？悪い、聞くべきだった。これでいいか？って。何かあるんだよな！？」
「でも轟さんの策が通用しなかったのに私の考えなんて…。」
「いいから早くしろ！そういうのはお前が適任だったって言ってるんだ！学級委員決めた時お前2票だったろ！1票は俺が入れた！そういうのに長けたやつだと思ったからだ！」
轟くんの言葉に、ヤオモモの顔に自信が戻ってくる。彼も出久と同じくらい、誰かの心を動かす力を持ってる。
「最初にやった、対人訓練の時。出久とかっちゃんたちの試合見てすごい的確に指摘してた。私が長年かけたことをヤオモモは一瞬で見抜いたの。だから、優れてるんだと思う。」
「轟さん、Aさん目を閉じて！」
言われた通り目を閉じると、暗い世界の中に光が見える。目眩しでも使ったのだろう。急に捕縛布が緩まる感じがして、轟くんと共に地面へとゆっくり降りて行く。
「あります、私ありますの！相澤先生に勝利するとっておきのオペレーションが！！」
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
