59.舞菜さん ページ21
＊
「いやー！疲れたねー！！」
「ご迷惑おかけしました。」
「ううん。ネイティブさんから、ます助けてくれたって聞いて、私の言ったこと守ってくれてるんだなーってわかって嬉しかったよ。」
どこまでも、彼女は良い人だ。個性の使用許可も、私が行きたいと思っているのを見越して出してくれたのだ。結果、使用許可が降りていたとしても、私が彼女の監督可能範囲を超えていたため、本来なら違反だった。その責任も、舞菜さんが被ってくれた上、こうして笑顔で許してくれる。
「ま、どっちにしろあの署長には感謝だね。厳重注意で許してくれたし。」
「ありがとうございます。」
「どういたしまして。特訓は明日から再開するとして、今日は2人でゆっくりしよっか！そうと決めたら映画でも見よ！」
事務所に帰り、2人で選んだ映画を見ながら、たくさんのことを話した。今日はもうオフだから、とビールを飲む舞菜さんの横で、私はアイスを食べたり、楽しい一夜を過ごした。
次の日から、職場体験は再開。といっても残り時間は少なかったため、あっという間に職場体験は終了してしまった。
「うう…。Aちゃん、まだ帰らないで…。」
「学校があるんだから仕方ないでしょう！舞菜さんだって、仕事ありますよ、仕事！」
「紫乃さん…。だってぇ〜！！」
私との別れを心から悲しんでくれる舞菜さんに、胸が締め付けられる。1週間でなく、ずっとここに居たいと思ってしまう。
「舞菜さん、1週間本当にお世話になりました。」
「ああ、帰っちゃう…。」
「近くに来た時は遊びに来てね。」
「はい。インターンなどでもまたぜひ伺いたいです。」
「もちろんだよぉ…！その時は、もっと色々教えてあげるね。Aちゃん武道の才能あるよ。」
「楽しみにしています。」
「うん！ああでもやっぱりまだ帰らないで…。」
「電車の時間もあるんですから！ほら、行きましょう！」
"いつでもどんな話でも聞くから、気軽に連絡してね"とプライベート用の連絡先を教えてもらった。
「本当にありがとうございました。」
「こちらこそ！」
最後は舞菜さんらしく、笑顔で見送ってくれた。紫乃さんも最後まで手を振ってくれて、改めて良いところに職場体験に来たな、と思った。
帰ったら出久に感謝しなきゃ。
こうして、1週間の職場体験は幕を閉じたのだった。
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
