47.大丈夫 ページ3
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「すごい件数の指名だね…。」
「そう？」
放課後。約束通り出久に相談に乗ってもらっていた。先ほどオールマイトに呼び出され、廊下で話している時に出久はグラントリノ？というヒーローの元へ職場体験に行くことに決めたらしい。
「どういうヒーローの元に行きたいとかある？」
「うーん体術系かな。もう少し極めたい。」
私の個性にはキャパがなく、私が怪我をすることもない。欠点があるとしたら、受け身個性なことと、頭を使うため、使いすぎると頭が痛くなるとか疲れるとかだ。
“ヒーローになりたいのなら、個性に頼らずとも戦える力を持つと良い。”
体育祭の後、相澤先生にアドバイスしてもらった内容だ。オールマイトにも体術を極めるべきって言われたから、それを伸ばそうとは決めていた。
「体術系のヒーローか！それならここと、ここと、あ、あとここも…。」
私の話を聞いて当てはまるヒーローに印をつける出久。その数の多さに、ヒーローってこんなに沢山いたのか、と思わされる。
「イレイザーヘッドが募集してればそこが良かったんだけどね。」
「あはは、昔からAちゃんはイレイザーヘッドが好きだよね。」
「うん。私と似てるし。」
「確かに…？」
私の一言に、思わず納得する出久。幼なじみの彼から見ても、似てると思うのなら本当に似ているのかもしれない。
「はいこれ。とりあえず色を付けてみたから見てみて。詳しいこと聞きたかったらいくらでも聞くから言ってね。」
「ありがとう。助かる。」
出久が色を付けてくれたヒーローを次々と見ていく。体術系だけでも50人近くはいて、絞るのが難しそうだ。
「個性:倍増…。」
「ん？どうかした？」
「ママと似てる個性だなと思って。」
「ヒーロー、舞のことか！3年前くらいにデビューしたまだ若手なんだけど、体術に長けていてコスチュームが袴っていうのも珍しいから注目を集めてるヒーローなんだ。」
「そうなんだ。…うん、ここにしてみようかな。」
「うん！年が近いとその分関わりやすいと思うし、Aちゃんに合ってると思うよ。」
「ありがとう。いつもいつも。」
「え！いやあの、うん、僕もAちゃんにはいつも助けられてるから。これくらいどうってことないよ！」
私の決定を常に応援してくれる出久は、昔から何かあったら相談する相手になっていた。親身に話を聞いてくれて、私よりも考えてくれる。そんな出久の後押しがあると、大丈夫、そう思えた。
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
