56.そういう個性 ページ18
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全ての個性を用いた攻撃は私には一切効かない。たとえ轟くんに氷漬けにされようとも、一瞬で氷は崩れ去る。たとえ炎を放たれようとも、少し熱いだけだ。出久の攻撃は、彼の個性で増幅される前の地の力で受けることになる。
ステインの個性＿血を舐めて動けなくするというのも、刃物で物理的に攻撃されたことで少し体が硬直したが、それもすぐに解けた。
その上攻撃された相手の個性が使えるというのだから、強個性であることに違いはない。代わりに、相手の個性を使えるのは一度個性で攻撃された後であり、その前は無個性と変わらないという大きいハンデを持つが。
個性が発動したにも関わらず動ける私を見て、ステインはもう一度血を舐める。今度は耐性がついたのが、硬直することもなかった。
「コイツ、そういう個性か…！」
それに気づいたステインは、私を刃物で攻撃するために、間合いを取ろうとしていた。
この時点で、彼は私の個性に気を取られすぎていた。だからこそ、真正面に迫る飯田くんと真横から構える出久の存在に気がつかなかったのだ。
出久のスマッシュと飯田くんの蹴りで、ステインにダメージを与える。さらに2人が畳みかけ、ステインは気を失った。
私は間合いを取ろうとしたステインに投げられたため、空中から急降下している最中である。生憎、私が落ちるのは重力のせいなので、物理的。このままいけば骨折かなぁ。
「っと。大丈夫か？真宮。」
「…あり、が、とう。」
落ちて来た私を軽々と抱き止める轟くん。地面との衝突を覚悟していたので、まさかの事態に言葉が詰まった。
「気絶したね。」
「ああ、そうだな。念の為武器を全て外して縛っておこう。何か縛れるものは…。」
「あった。縄。」
「よし。」
轟くんが縛ってくれている間に、プロヒーローの元へ駆けていく。
「大丈夫ですか？」
「ああ。ほとんど怪我はないよ。ありがとう。」
「ならよかったです。すみません、引き摺って。」
「いや、おかげで助かったよ。ヒーローらしくないこと言って情けなかったな。」
「そんな事ないです。心配してくれたのは伝わりましたから。」
私たちが戦っている間に硬直が解け、動けるようになっていた。数カ所怪我をしていたが、どうやら飯田くんや出久よりは軽傷らしい。
ステインを引き摺る轟くん、腕を怪我した飯田くんに代わって、出久をおぶって通りまで連れて来てくれた。
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
