50.スパルタ ページ12
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一通り担当地区のパトロールを終えた後、舞菜さんは隣の地域までパトロールをすると言った。
「最近話題のさ、ステインって知ってる？」
「はい。確かヒーローを狙ってるっていう。」
「そうそう、ヒーロー殺しって呼ばれてる。そのステインがこの近くに出現したらしくて。お互いの安全のためにも、隣の区域までパトロールしようってことになったの。」
ステインといえば、飯田くんのお兄さんが襲撃されて重体だと出久が話していた。確か現場は保須だったので、ここはその近くということだろう。
舞菜さんの話によると、どうやらここから２つ隣の街が保須らしい。
「念には念を、ってこと。もしこの1週間でステインが現れた場合、私たちも対応にあたることがあると思うから、覚悟はしておいてね。」
いつになく真面目な声の舞菜さんに、気が引き締まる。ここはもう学校じゃない。いつ、何が起きたとしても、ヒーローの指示を聞いて自分で動かなければならないのだ。
隣の区域までのパトロールを終えて、私たちは事務所に帰ってきた。
「よし、じゃあ特訓と行きますか！私今まで色々なのやってきたから、教えるのが合気道の技とは限らないけど大丈夫？」
「体術を強化するために来たので、大丈夫です。」
「うん、なら良かった！」
「Aちゃん、その子容赦ないから頑張ってね。」
サイドキックの紫乃さんにこそっと呟かれた。どうやら舞菜さんは、武道のこととなるとかなり厳しくなるらしい。
事務所の裏にある道場で道着に着替え、特訓を開始した。すぐ裏に道場があって、いつでも練習させてくれるため、この場所を事務所に選んだそうだ。
「じゃあまずは受け身100回からかな。私が投げるから、それに応じて受け身を取ってみて。」
受け身100回…というと、初段に上がった時に行ったもので、それを準備運動でやるあたり、やはりスパルタなのだろう。
案の定、私は80回くらいで疲れが来て、一度休憩を挟んだ。
「100回ってかなり、ですよね…。」
「まあね。でも武道やってるとさ、女だからって舐められることも多くて。絶対負けたくない！と思って普段からそれくらいやるようにしたの。基礎を固めれば、どんな技でも確実に出来るようになるよ。」
「わかりました。頑張ります。」
「頑張ろう！」
受け身を100回取った後は、剣道の素振り。これは初めてだったため、持ち方から教わり、体の使い方や技も教わって、この日の特訓は終了した。
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作者名：レモネード | 作成日時：2023年12月22日 22時
