恋愛中毒 (ページ9)

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気付いてないふりページ9

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オリエンテーションが始まる時間になって
集合場所に移動して４月のスケジュールとか
校内の説明とか色々聞いてその日は終わった
オリエンテーションが終わって気付くと
なぜかみんなそれぞれ仲良くなってる
いつの間に、、、
どうしよ、取り残されちゃってるかも
頑張って声かけようと思っても
結局勇気が出ずに諦めた

明日からガイダンスとかもあるし
明日からは頑張ろう

涼太くんはまだこの後授業あるって言ってたし
ひとりで帰ろう
電車で帰ると三田さんに怒られるけど
電車乗るの結構好きだし、たまにはいいよね
迎えの車の用意なんてしてくれなくてもいいのに
ほんと過保護なんだから

帰ろうと思って今日渡された紙類を
ファイルに入れてまとめてカバンに入れようとしてたら声をかけられた

「もしよかったら私たちと明日ガイダンス一緒に行かない？」

「え？！いいの？」

「もちろん！私はサヤ。好きなように呼んで？Aちゃんって呼んでいい？」

「全然大丈夫だけど、どうして私の名前…」

「Aちゃん有名人だよ」

「え？」

「Aグループの社長の娘だって噂になってたもん。羨ましいな。ここの大学私立だしみんなお金持ちだけどAちゃんはケタ違いだもんね」

噂になってるんだ
…なんかやだなあ。
高校生の頃も同じだった

『Aちゃん、クッキー焼いたから食べて』

『いいの？ありがとう』

『Aちゃん今日掃除変わってあげる』

『いいよ、申し訳ないし』

『いいって、気にしないで』

みんな私にすごく優しかった。
少し違和感を感じるくらい
でもその頃の私は気付いてないふりしてたけど
ある時、友達達が話してるのを偶然聞いてしまった

『またAちゃんに媚び売ってたでしょ。笑』

『だってあの子のお父さん学校にすごい額のお金寄付してるでしょ。私、今行きたい大学C判定なの。だから学校から推薦して貰わないと困るの。あの子のお父さんから学校に言ってもらったら1発でしょ』

『ほんと悪いね～。笑』

『お互いさまでしょ～』

みんな優しさは私に向けてじゃなくて
Aグループの娘の私に向けてだった
だから優しさが逆に虚しかった
また同じになっちゃうんだ

…でもひとりでいるよりはマシだもん
気付いてないふりしてれば
楽しく過ごせる、それだけの話だもん

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