後ろ姿 ページ5
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「今日は誰のお墓参りだったの?」
バスが来るまでまだ結構時間あって
2人きりであまりにも静かだったから
向こうが話しかけてくれた
「お母さんです。今日が命日で」
「そっか、俺は幼馴染の命日」
「そうなんですね」
「なんか、俺未だに受け入れられなくてなにもなかったようにあいつが帰ってくるんじゃないかって時々考えるんだよね」
「…わかります。私も受け入れられなくて嫌なことがあるといつもお母さんが居てくれたらって考えちゃって」
「どうやったら受け入れられるようになんだろね」
そんな話をしてたら
さっきの大雨が嘘みたいに晴れてきた
「…わ」
「いつまでもウジウジすんなってあいつが言ってんのかな。」
「私のお母さんもそう言ってるのかも」
急にお日様が出てきて
私の心のモヤモヤも少し飛んで行った気がした
それから少し経ってバスが来た
1番後ろの席で1人分空けて隣同士で座った
「このパーカーいつお返しすれば…」
「捨てといて、結構前に買ったやつだし」
「え、でも…」
「いいって、結構よれてきてたから」
そっかこれからもう会うことないんだ
それに私この人の名前も知らない
「じゃあ、俺ここだから」
「ありがとう」
「ん、じゃーね」
後ろ姿を見るとまた胸がぎゅーっとなった
なんだろこれ、すごく寂しい
バスの窓から歩いてる彼を
見えなくなるまで見つめた
…ありがとう
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こじゃる(プロフ) - お話大好きです。更新頑張ってください。 (2020年4月19日 21時) (レス) id: 2442b06a12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:culumi | 作成日時:2020年4月17日 23時