６ー７【終】 ページ3
鬼太郎自身は、速く歩いたつもりなどなかった
かごめもきちんと後ろを着いて来ていたのを確認しつつ、歩いていたのだから
ポツリと呟かれた「速い」という短い文句を、言われるはずなどない
鬼太郎＞速いって・・・あ。
顔を伏せている彼女から、雨の雫が落ちる
ちゃんちゃんこを小さく握り締めていた手に、少し力が加わった
気付いてしまうと、何も言えなくなった鬼太郎
鬼太郎＞・・・・・わかった。でも服はやめてほしい、歩き難い。
言いながら、彼女の右手を掴んでちゃんちゃんこから離した
右手を掴んだまま歩き出すと、今度はその手を小さく握り締めてきた
鬼太郎〈本当に・・・どっちなんだ？君の本心は・・・〉
聞いても彼女は答えない
わかっていたからこそ、声に出して問うことはしなかった
それに、今の彼女にはとても聞けなかった
泣いているーーそう見えたから
実際にどうかはわからなかったが、彼にはそう見えた
同じなのか、目玉おやじはあえて何も言わず、鬼太郎の髪から顔を出して傍観していた
だがしばらくして、髪の中に引っ込んでしまう
掌から伝わる体温は暖かいのに、それが危うく感じた
この場からすぐにでも、一瞬で、消えてなくなってしまいそうな気がした
鬼太郎＞・・・。
あの晩の事を思い出し、今度は横目でかごめを見上げる
無言のまま隣を歩く彼女は、あの時とは違う様子だ
しっかりとした足取りで、ほぼ同じ速度で歩いている
余計にわからなくなった、彼女の本心
何を言えばいいのか、何をすればいいのか
もしくは何も言わない方がいいのか、何もしない方がいいのか
それすらもわからなくなっていた
かごめ＞くしゅっ。
鬼太郎＞！
考え事をしていたせいか、かごめのくしゃみで思考が引き戻された
鬼太郎＞・・・風邪か？
かごめ＞違う・・・と、思う。
間を空けて返された答えに、思わず呆れた
鬼太郎＞あんな場所で、あんな事するからだ。
かごめ＞なんの話かしら。
惚けるつもりらしい
鬼太郎＞・・・まあいいけど。君が風邪をひいたところで、面倒を見るつもりはないし。
かごめ＞でしょうね。それで構わないわよ、私も。
鬼太郎＞・・・・・あんな事しておいて、か。
かごめ＞え？何か言った？
ポツリと呟いただけだからか、彼女には聞こえていなかったようだ
鬼太郎＞・・・なんでもない。
「・・・・・速い」
そう言った彼女は、まるで・・・
置いていかないでと、独りにしないでと
甘える幼い子供のようだった
- 金 運: ★☆☆☆☆
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ななか - 更新頑張ってください！ (2022年2月14日 13時) (
レス) @page45 id: ffd4f837c8 (このIDを非表示/違反報告)
サヤノ - ミサカさん、令和おめでとうございます！ 鬼太郎夢小説連載頑張って書いて下さい。 (2019年5月16日 10時) (レス) id: dd5aa67050 (このIDを非表示/違反報告)
みっこ - 次回楽しみにしてます！更新頑張って下さい！応援します！！\(одо)/ (2019年2月10日 1時) (レス) id: f38aff3a8c (このIDを非表示/違反報告)
サヤノ - こんばんは、ミサカさん、お元気ですか？ こちらは毎日元気にしています・・狸軍団の次回をお待ちしております！ (2019年1月28日 19時) (レス) id: dd5aa67050 (このIDを非表示/違反報告)
小雪(プロフ) - はじめまして、とても面白かったです(*^^*)更新たのしみにしてますがんばってください (2018年11月26日 3時) (レス) id: 8802fb7331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミサカ美琴 | 作成日時：2018年5月18日 2時
