ゲゲゲの鬼太郎〜呪われた少女〜弐

７ー８ ページ11

かごめ＞・・・時間。どれくらい経った？

鬼太郎＞ほんの２、３時間だ。

かごめ＞２、３時間・・・そんなに・・・。

鬼太郎＞そんなにって、まだしばらくは寝てた方が賢明じゃないか？

かごめ＞五月蝿い・・・けほっ、けほっ。

鬼太郎＞あの雨の中、すねこすりに気力を与えるからだ。風邪をひいたのは自業自得だ。

かごめ＞なら放っておけばいいじゃない。

鬼太郎＞・・・。

いつもの鬼太郎なら、そうしていただろう

だが今回は出来なかった

玄関に放っておくわけにはいかないと、せめてベッドまでは運んでやろうと抱え上げた

この時感じたのは、以前よりも断然高くなった彼女の体温

そして、軽いと思った

これまで１、２回程は抱えたことがある

元々少し軽いとは思っていたのだが、今回は更に軽いと感じられた

すねこすりの件から、しばらく経つ

おそらく、ろくに食事を取っていなかったのだろう

この家から更に出難くなったのは、内装のせいだ

中学生の少女ひとりが住むには、かなり殺風景過ぎる部屋

本当に必要な物しかないその内装は、まるでいつ自分がいなくなってもいいようにしてあると思える

彼女はこのまま、大人しく死ぬつもりなのだろうか・・・？

かごめ＞・・・ねぇ。

鬼太郎＞？

先程までの苛立った口調と違い、弱々しい声掛けに思考が戻ってくる

かごめ＞あなたなら、私を殺してくれる？

鬼太郎＞ーーえ。

思考が止まる

聞かれると思っていなかった疑問を呟かれ、動けなくなる

かごめ＞冗談よ。本気にしないで。

鬼太郎＞・・・冗談に聞こえなかった。

かごめ＞・・・・・私は、人に仇なす妖怪だけを滅する。それが宮代家(うち)の基本方針だし、私も納得してる。それに呪いを掛けるぐらいだもの。人に仇なす妖怪だと思ってる、私が探してる奴も。

つまり、人に仇なす妖怪を滅していれば、巫女の勤めも果たせて目的の妖怪も探せる

一石二鳥だ

かごめ＞それまでは、ちょっと足掻いてみるつもり。願望は変わらないけど、私達を呪った奴も滅したいと思うのも、本心だから。

鬼太郎＞・・・。

かごめ＞・・・喋り過ぎた。運んでくれてありがとう。もう、いいから。

そう言って眠ってしまった彼女を、彼は無言で見ていた

気を失い、荒い呼吸を繰り返していた彼女は苦しそうだった

鬼太郎＞しっかりしろ！

抱えてベッドまで運び、寝かせる

側にあったテーブルには薬があった

袋を見る限り、病院には行ったらしい

風邪薬と解熱剤が入っていた

７ー９【終】→←７ー７

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