○●ビスケット●○ARS・Sakurai Part3 (ページ4)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:189,283 hit

○●50●○ ページ4

●翔side●

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ…

.

.

「それでは今日の講義はここまで。また来週。」

.

教授の短い挨拶とともに

真面目に講義を聴いていた学生も

机に突っ伏して寝ていた学生も

みんな一斉に椅子から立ち上がる。

.

講義室の出口は一つしかなく

ちょっとした渋滞が起きていた。

.

足止めをくらい

少しだけイライラする短気な俺に

後ろから

誰かの手が伸びる。

.

？「しょーおっ！」

.

着ていたセーターの襟を

思い切り掴まれ

.

.

.

翔「グエッ(((｀◇´;)))」

.

.

.

一瞬

呼吸が止まった。

.

こんなことするヤツは

一人しかいねぇんだけど…

.

ケホケホと咳き込みながら

後ろを振り返ると

.

.

.

翔「千佳子、てめぇっ…ｹﾎｯ」

.

.

.

そこには

思った通りのヤツがいた。

.

千「ごめんごめん！痛かった？(^皿^;)」

翔「お前、いきなり何すんだよバカッ！」

.

俺の首をいきなり絞めたコイツは

同じ大学に通う幼馴染の千佳子。

昔からこうやって

何かと俺にちょっかいをかけてくる。

.

千「バカとは何さっ！ちょっと引っ張っただけじゃん！」

翔「伸びるから触んな！ったく…大事なんだよこのセーター。」

.

少し引っ張られた跡が残る襟を

元に戻しながらそう言うと

.

千「知ってるもん…。最近そればっか着てるの、知ってるもん…。」

.

さっきまでギャーギャー言ってた千佳子が

俯きながらポソっと呟くから

急におとなしくなった目の前のヤツに

俺は首を傾げる。

.

翔「つーかお前何しに来たんだよ。この講義、お前の学部は取らねーだろ。」

.

教育学部の俺と

法学部の千佳子。

同じ大学に通っていると言えど

接点のない学部同士のはずなんだけど…

.

今日みたいに

千佳子は割と頻繁に

俺の前に現れた。

.

千「いいじゃん別に。あんまり細かいこと言うと、傘入れてあげないよ？」

翔「傘…？」

.

.

.

窓から見える景色が

さっきまでと変わっていることに

俺はこのとき

初めて気付いた。