○●ビスケット●○ARS・Sakurai Part3 (ページ21)

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ｺﾄｺﾄｺﾄ… ｸﾞﾂｸﾞﾂｸﾞﾂ…

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あ「ぅわっ！…っと、危なー…」

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台所の換気扇の下で煙草を吸いながら

もう少しのところで噴きそうだったお鍋の火を慌てて消す。

今日は仕事がお休みだから

ゆっくりゆ～っくり晩ご飯の仕度をしてたんだけど…

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ちょっと気を抜いたらコレだ。(´｀;)

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あ「少し焦げたけど…ギリセーフ、か、な？」

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お鍋の底をおたまで突きながら安全確認！(｀◇´)ゞ

うん、櫻井さんなら大丈夫。←コラ

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くわえていた煙草の火を消し

新しい煙草へ手を伸ばそうとすると

エプロンのポケットの中でケータイが震えた。

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あ「はい…」

マ『ジュリちゃん？マイだけど。』

あ「うん。どうしたの？」

マ『せっかくのお休みの日に悪いんだけどさ、ちょっと事務所に来てくれない？』

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時計を見ると、櫻井さんが帰宅するまで

だいぶ時間に余裕がある。

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あ「分かった。今から行くね？」

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そう返事をすると電話を切り、

あたしはエプロンを素早く外して玄関を出た。

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早く行って早く帰ってこよう。

櫻井さんが帰ってくる前に…

早く… 早く…

じゃないと、櫻井さんの

『ただいま』に

間に合わない…

早く… 早く…

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事務所へ向かう途中

あたしは

ずっとそんなことを考えていた。

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あ「お疲れさまでーす。」

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挨拶をしながら事務所のドアを開けると

中にいたマイちゃんに腕を引っ張られる。

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マ「ありがと！早かったね！こっちこっち…」

あ「？？？」

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マイちゃんに連れてこられたのは

いつもは控え室になっている奥の部屋。

でも今日は

“いつも”とは違うみたい…

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壁側には白いスクリーンが設置され、

首からカメラを提げた人がそこに立っている。

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あ「え？撮影？！」

マ「そ！はいコレ着て♪」

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そう言ってマイちゃんから手渡されたのは

黒い紙袋だった。