○●ビスケット●○ARS・Sakurai Part3 (ページ19)

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ある日曜日の夜。

普通なら明日から始まる新しい一週間に備えて

早めの就寝を…

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と、いきたいところだが

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翔「あ、タンスがそこだと金運が下がるっぽいからダメ！」

あ「…金運なんてこれ以上下がりませんよ。」←元も子もない

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部屋の模様替えに勤しむあたしたち。

…と言っても、あたしはさっさと寝たいんだけどね！

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あ「なんでこんな時間(23時)に…」

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不満げにボソッと呟くと

櫻井さんが手に持った風水本から

隠れていた顔をひょっこり出す。

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翔「しょうがねーじゃん！なんか無性に気になっちゃって…」

あ「あれでしょ？明日から試験だからでしょ？」

翔「(ギクッ！)」

あ「(図星か…)完全なる現実逃避じゃないですか･･･(-ｪ-;)」

翔「試験勉強より部屋の間取りが気になる年頃なんだよっ。」

あ「いいから早く勉強してください。」

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『ちぇ～』と口を尖らせる櫻井さんをよそに

あたしは一度動かしたタンスを元に戻そうとした。

すると

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翔「ん…なんだコレ…」

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櫻井さんが何かを見つけたようなので

作業を中断し彼の方へ駆け寄る。

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櫻井さんが見ていたのは

いつもはタンスに隠れて見えない柱の部分で

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あ「あ…」

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そこには…

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【A ●年■月▲日】

という文字が一年毎に

柱の“キズ”と一緒に刻まれていた。

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――――――――――――－…

『A、ほらここに立ってごらん？』

『うん！』

『あらぁ、去年のお誕生日よりだいぶ伸びたわね～。』

『お母さんほんと？』

『ほら、ここに“しるし”をつけたから見てごらん？』

『うわぁ！ほんとだぁ！やったー！！』

『いつかお父さんも追い越されそうだなぁ。』

――――――――――――－…

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それは

涙を堪えないと

視界がぼやけて見えなくなってしまいそうな

両親との記憶……

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翔「【A】って…お前のことだよな？」

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柱を見ていた櫻井さんが

あたしの方へゆっくりと振り返る。

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あ「…。」

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櫻井さんの大きな瞳が

あたしを見つめているのは分かったけど

すぐに返事をすることができず

ただただ

柱を見つめていた。