○●58●○ ページ12
●翔side●
何も持たずに部屋を出た俺は
午後からの講義に出席したはいいものの
筆記用具も何もない状態で
手持ち無沙汰のまま
時間を持て余していた。
.
.
.
『天気いいんだから外で吸ってこいよ！！』
.
.
.
俺ってば
なんであんなこと…
.
教授のしつこいくらいの咳払いも
隣のヤツのヒソヒソ話も
全てが俺の心を逆撫でする。
.
ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ… ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…
.
そんなとき
ポケットの中で震えたものに
自分が空身でなかったことを知らされる。
.
翔「(ケータイ…持ってきてたんだ。)」
.
教授に見えないように
すぐさま机の下でケータイを開く。
少しドキドキしているのは
きっと
それがAからの連絡かもしれないと
ほんの少しでも期待しているから…
.
しかしそれは
彼女からのものではなかった。
.
――――――――――――――――――――――−−・・・・・
.
「いやぁ〜、助かったよ櫻井先生が来てくれて！」
.
そう言いながら俺の肩をポンっと叩いたのは
バイト先の学習塾の塾長。
.
翔「いえ、お役に立ててよかったです。」
塾長「スマンねぇ。急に安川先生が熱出しちゃったもんだから。」
.
本当はバイトが休みの今日
病欠した安川先生(英語科担当)の代わりに
急遽俺(社会科担当)が授業をすることになった。
.
「あれぇ〜？なんで安川せんせーじゃないの〜？」
「櫻井せんせー英語できるの〜？」
.
俺が黒板の前に立つと
教室の中が一気に騒がしくなる。
.
翔「安川先生は体調が悪くて今日はお休みです。代わりに俺が授業するからよろしくな。」
「「「えぇー！？」」」
翔「『えぇー！？』って言うな！(｀□´;)」
.
そんな中
一番後ろの席で
堂々と口を動かしている男子に目が行く。
.
翔「ユウキ！お前はいつまで菓子食ってんだ！」
.
そう言ってユウキの手から
箱ごとお菓子を没収する。
.
翔「授業が終わったら返してやる。」
ユ「はぁーい…。」
.
よしよし と頭を撫で
黒板の方へ歩き始めた瞬間
クスクスっという笑い声が聞こえたが…
.
特に気にせず
俺は授業を再開した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 149人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちず
| 作成日時：2011年4月23日 18時
