歌い手様短編集[大人数合作]part4 (ページ48)

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MAFIA　byこたつむりページ48

我がボスが錯乱した。
とんちんかんな命令を出したせいで界隈は混乱に陥った。
当のボスは自分で好き勝手やって蒔いた報いの種を踏み、今はいない。
最後は
「嫌だ、やめろ、助けてくれ」
と言っていたが、祈りの言葉も届かないこの町で死んでいく様はお似合いだった。
リンチで殺されていた。
まぁ交通法を守っているイイコはこちらの界隈には来れないから、ボスは人知れず死んで逝ったことになるのだろう。
次期ボスである俺が当たり前のように就任した。
当たり前の様に名誉、金、未来も欲しいといった強欲な野望を持っている俺は部下をこき下ろし、奪い取るのだけれど。

この世界はロクデナシばかりであり、俺は除け者にされてきた。
自分の意志で入ったにも関わらず、ここに来る前の組織ではゴミだ、カスだと言われ、捨てられた俺には親に合わせる顔がない。
それでも命は惜しい。
それでもって親とボスを殺したアイツを殴って殺したい。
錯乱したとはいえ、とても良いボスだったのだから、仇を取りたいやつは多いだろう。
今はそういう奴らの掃き溜めになっている。
夜道に気をつけろよ、我が仇殿。

売買で倍々ゲームなら大体はアイツの情報を得るために散々やった。
警察の権力も懸命で、そのゲームの経営に加担してくれた。
もちろん脅したからなのだけれど。
権力保持者に愛する家族がいてくれて、本当に良かったよ。
いないだろうけれど、適当にこの仕事をした奴は海に投げて界隈から消す次第である。
丁度、黝簾石と白い月長石の二人を誘った。

「仲間になったら世界を半分やるからこっちに付いて来な」

なんて、拳銃を向けながら半ば脅しのような形で誘えば普通についてきてくれた。
力は幹部レベルなので、元々いた橄欖石、紫水晶、柘榴石、黄玉の四人に追加で入れた。

弱き者に仇を。悪しき者に鉛を。
それが我がファミリーの教訓だ。
表の世界では許されないこと(犯罪)でも、組織の中では俺が許す。
全て手に入れるのは表世界の一切合財を捨てた奴だけ。
とは言っても結局の所は弾丸一発で分からせてやるしかないのだけれど。

『仲間になります』

『本当か。大きい組織にいた奴が入ってくれるだなんて、今日はツイてるなぁ』

何も知らず、疑わずに入れるなんて馬鹿だなぁ。
利用しやすくて結構なのだけれど。
イヤモニから流れる音声に嘲笑う。
橄欖石が中に案内されていると、隠しカメラが中継する画面には様々なものが写っ映ていた。