歌い手様短編集[大人数合作]part4

エイプリルフール　byこたつむり ページ42

「センラ」

「ん？」

スマホをいじっていると、名前を呼ばれる。

「今日ってエイプリルフールじゃん」

「うん」

「嘘は何回ついてもいいんだけど叶わないって」

「うそ」

今日がエイプリルフールであることを再確認した上でその話を持ち出す。
これから浦島のみんなに彼女できたって嘘つこうと思っていたのに。
慌てて顔を上げる。

「嘘だよ。嘘は一回だけ、午前中に。叶わないって言うのはほんと」

ひっかかったーなんていうから睨みはするけれど当の本人はどこ吹く風。
叶わないなら一回も二回も同じじゃん。
いっそのこと今年は災害があるなんて嘘ついてみるか？
そうすれば今年一年は災害がないとか……？
いや、彼女できないって言ったら彼女できるかな。

「センラぁ、センラのこと好きなんだよね」

「え、うそ……？」

「あっはは、Got you」

ボソリと呟いた言葉に反応した。
いやいや、これもどうせセンラを誂うための嘘に決まってる。
そうなるとセンラのこと嫌いってなるけど。
それはそれで嫌だな。
狼狽えていると、隣から鈴の音のような笑い声が聞こえ、恨めしく思える程発音の良い、帰国子女なんじゃないかと思えるほどきれいな発音で英語をいう。
あなたを捕まえたとか、ひっかかったーとかの意味があった気がする。
それにもう嘘はついて……
つまり

「えっ、嘘やん……」

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