歌い手様短編集[大人数合作]part4 (ページ14)

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ミルクでビターでホワイトで　mfur(sksr)　byこたつむりページ14

まふまふSide

「うらたさん、うらたさん！」

「んだよ」

怠そうに振り向くボクの彼女、うらたさん。
彼は高校でボクシング部に入っていたらしい。逞しい。強すぎ。
身長差は15cm。
軽率に好きだなぁ。なんて思っていると、訝しげに覗き込まれ、我に返る。

「はい！」

隠していたチョコレートの箱を渡す。
ド定番のミルクチョコ、苦めのビターチョコ、それから結構甘めのホワイトチョコ。
意地悪というか、悪戯でカカオ70%の奴も入れてみようか、なんて思ったけど、やっぱり彼女が喜ぶ姿のほうが楽しい。

「何これ」

「今日が何の日が分かってないでしょ、うらたさん」

「ん？……あ～、バレン、タイ……ン」

カレカノイベントが恥ずかしいのか、赤面して俯くうらたさん。
さすが、ボクの彼女は世界一可愛い。

「うらたさん本当可愛いですね！」

「ちょ、やめろ！」

可愛すぎて頭を撫でる。
うらたさんも嫌がるけど、その割に抵抗しないから大体続けてる。
いっても寝起きとかにやるとガチで怒られちゃうからやらないけど。
でもこんな可愛いのって、デレ期と抱いてるときと、撫でてるときだけだもんなぁ。
普段つんつんし過ぎてぐざぐさ刺さる。
痛いぐらいに。

「はぁ～っ！可愛いです！」

坂田Side

またやってるよ、あの人ら。
毎年恒例のことだけれど、飽きないのかな。
二人と合う度にイチャコラして。
僕やってそらるさんともっと一緒にいたいけど……。

「飽きないのかな」

相棒と、彼女の相棒。
相棒と、相棒の彼氏。
言い方はもっとある。
相棒と、相棒の友達。
相棒と、僕達の仲間。
親友と、親友の友達。
仲間と、仲間の友達。
とか。

「僕もそらるさんといたい」

「今いるじゃん」

呟いた言葉に、呆れながら答える彼女。

「そういうことやないんですぅー！」

「そうだ、はい、これ」

確かにおるけど、まふたちほどべったりやなくてええけど、距離感半端ない。
恋人にしては遠くないすか、そらるさん。
もやもやしていると、そらるさんが何かを思い出したようにかばんを漁って、適当にぽんと投げて寄越す。
きれいにラッピングされている袋を開けると、チョコレートが入っていた。

「そらるさん、そらるさん。一緒に食べましょ！」

「じゃあ家帰ったらね」

ふ、と微笑んだそらるさんに射抜かれた。

……ような気がした。

「お前らも毎年やってるよな、それ」