3話 ページ3
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その途端風がぶわっとふいた。カーテンが破れるほど、窓が割れるほどに。
机や椅子があちらこちらにぶっ飛ぶ。
そんな状態でも先輩は包んで守ってくれている。
うっすら目を開けると、真上から机が降ってくるところだった。
『あぶないっっっ』
ついつい先輩を守るような形になってしまった。案の定、机が頭の上に。
一瞬のことすぎて痛みを感じることもなく意識を手放した。
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目が覚めると、病院にいた。近くには、お父さんが手を添えて目を腫らしたまま寝ていた。
何が起きたのかよく分からないままお父さんを見つめる。と、お父さんと目が合った。
『おはよ。』
するとお父さんが飛び跳ねて抱きついてきた。苦しいけども嬉しいのでそのままにしておく。
そして今気付いた、お父さんがなにか話しているようだけど何も聞こえないことに。
『おとぅ、さん?』
詰まりながら言うと口を ご、め、ん、ねとゆっくり動かした。
なにがごめんね?私が怪我したこと?
お父さんは紙に何かを書いて見してきた。その紙には、落ち着いてね。Aは耳が聞こえなくなったんだ。守ってやれなくてごめん。そばにいてあげられなくてごめん。
そう、書かれていた。
視界が歪んだ。何だかぽわーとする。何から考えたらいいのか分からない。私の耳が?聞こえない?嘘でしょ?
だが次第に脳が追いついた様でお父さんに抱きつきながら泣く。
涙がかれるまで。
頭と、背中をさすってもらっていると、だんだん落ち着いてくる。
『せ、先輩は…?!』
視界が歪んだまま尋ねた。
自分がちゃんと話せてるのか分からない。閉じ込められてるみたいでとても怖い。
でもあなたを撫でる手は止まってなかったため少し安心する。
お父さんが書かれた紙には、Aだけが倒れててあとは誰もいなかったって。1週間も目が覚めなかったんだよ。もう目が覚めないんじゃないかと本当に怖かった。と。
いつの間にか先生がきて色々してくる。
手紙の内容を頭の中でグルグルさせながらされるがままになる。
先輩は無事だったのかな?
そう無理矢理思って一日を過ごすことにした。
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作者名:cueee | 作成日時:2020年3月25日 17時