Inevitably4-4 ページ9
可愛らしくラッピングされたクッキーの詰め合わせが目に入って、友達に買っていこうかなと考えていると肩越しにわいわいさんが手元を覗き込んで来る。
「欲しいん？」
「友達に買って行こうかなって思って」
「ふーん、男はあかんで」
わたしがなにかを言う前に、クッキーをひょいと奪い取ると持っていたカゴに入れてしまう。プリンを1つずつと、フルーツのタルト、ショートケーキを買ってわたしたちは店を出た。代金はやっぱり支払わせてもらえなかったので、夕飯はわいわいさんの好きなものをたくさん作ろうと心に決めて。
ぽつ、と額が濡れた気がして顔を上げる。雨が降って来た。
「わいわいさん、どうしよう」
「ちょうどバス来たわ、乗ろう」
少し先にあるバス停に着くまで、わいわいさんはジャケットを傘代わりにしてわたしのことを守ってくれた。二人掛けの席に座って、ふうと息を吐く。
鞄からハンカチを取り出して、わいわいさんの頬や額の水滴を拭った。
「ジャケットごめんなさい…」
「そこはありがとうやろ」
「うん…ありがとう」
優しく微笑むと、頭をくしゃくしゃと撫でられる。
胸ポケットからイヤフォンを取り出すので受け取って片方ずつ、わいわいさんの流す音楽を共有した。ケーキの小箱を大事に膝に置いて、しばらくバスの揺れに身を任せる。
他に乗客がいないのをいいことに、わいわいさんはわたしの肩に頭を預けて目を瞑る。慣れなくていいってわいわいさんは言ってたけど、まだどうしてもどきどきしてしまう。
あったかくて、幸せで。本当に溶けてしまいそうだ。ずっとずっと続けばいいのに。
わいわいさんもそう思ってくれていたら、嬉しいな。なんてことはない、当たり障りのないささやかな毎日でいい。劇的な変化もサプライズもいらないから、だからずっとずっと、隣で笑っていることを許してほしい。
そしてそのときはきっと、あなたも笑顔で。
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ましろ - 文章もセリフもとても素敵です。幸せになりました。書いてくださってありがとうございます。 (1月10日 2時) (
レス) @page17 id: 42d369048f (このIDを非表示/違反報告)
C(プロフ) - きさん» ありがとうございます、そう言っていただけて幸せです！ (2021年8月6日 17時) (レス) id: 33552a9fa0 (このIDを非表示/違反報告)
き - ほんとに最高です。好きです、ありがとうございます (2021年8月1日 5時) (レス) id: 304424e7c7 (このIDを非表示/違反報告)
C(プロフ) - あさん» 長い間続きをお待たせしてしまいすみません。私生活の方でバタバタしておりまして滞っています。ですが待っていてくださる方がいらっしゃることがわかってとても嬉しく思っています。もう少しお待ちいただけたらと思います。ごめんなさい＞＜ (2021年3月8日 2時) (レス) id: 779f64aa16 (このIDを非表示/違反報告)
あ - どうか、どうか続きをいただけませんか…？ (2021年3月4日 23時) (レス) id: f01f1c5c0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：C | 作成日時：2020年9月4日 23時
