Inevitably5-3 ページ12
「すんません、勘違いしてデカい声出して。ここまで送ってくれてありがとう」
「いや、俺の方こそ…Aちゃんの彼氏さんですか」
「そう思ってます」
佐古田くんからわたしの鞄を受け取って、わいわいさんがわたしの腰を引き寄せる。彼の肩に腕を回してゆっくりと立ち上がると、ようやく佐古田くんが視界に入った。
「ごめん、佐古田くん…また、学校で」
「うん、お大事に」
*
わいわいさんの部屋だった。抵抗も反論もできなくて、わたしは連れられるまま大人しく歩いた。知られたくなかったし、これじゃわいわいさんに移ってしまうかもしれない。佐古田くんにも悪いことしちゃった…ありとあらゆる事象が全て悪い方向に転がったというか、全部が裏目に出てしまった。
ベッドに下ろされて倒れ込む。カーディガンやら靴下やらを甲斐甲斐しく脱がせてくれるわいわいさんの前髪にそっと視線をやる。
「Aってほんま、俺のこと頼ってくれへんよな」
その声色は少し、怒気を含んでいた。わたしの返答を聞く前に、わいわいさんはリビングに行ってしまう。枕元に置かれた携帯を手繰り寄せる。ポップアップにわいわいさんからの返信があった。
【了解】
【なんかあった？】
立て続けではなく、2つのメッセージには数分の間があった。気にしてくれてたのかな、心配してくれてたのかな。久しぶりに外食だってあんなに喜んでたのにって、思ってくれてたのかな。
「俺のやけど、着替えた方がええわ」
スウェットとタオルと飲み物を抱えたわいわいさんが戻って来る。灰色のスウェットが差し出されて、わたしは無意識に涙ぐんでしまった。ありえないとわかっているのに、戻ってきてくれたことが心底嬉しかった。
泣き出してしまったわたしの頬を持っていたタオルで拭ってくれる。
「怒鳴ってごめん。用事ってあいつと会うことかと思ったら頭に血ィ上って」
「ごめんなさい…心配させたくなくて」
移ったりなんかしたら、目も当てられない。ここまで来てしまったらもう手遅れだけれど。わいわいさんが汗で張り付いた髪を優しく掻き上げてくれる。
「もうちょっと俺のこと頼ってや。A1人背負うくらい、訳ないで」
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ましろ - 文章もセリフもとても素敵です。幸せになりました。書いてくださってありがとうございます。 (1月10日 2時) (
レス) @page17 id: 42d369048f (このIDを非表示/違反報告)
C(プロフ) - きさん» ありがとうございます、そう言っていただけて幸せです！ (2021年8月6日 17時) (レス) id: 33552a9fa0 (このIDを非表示/違反報告)
き - ほんとに最高です。好きです、ありがとうございます (2021年8月1日 5時) (レス) id: 304424e7c7 (このIDを非表示/違反報告)
C(プロフ) - あさん» 長い間続きをお待たせしてしまいすみません。私生活の方でバタバタしておりまして滞っています。ですが待っていてくださる方がいらっしゃることがわかってとても嬉しく思っています。もう少しお待ちいただけたらと思います。ごめんなさい＞＜ (2021年3月8日 2時) (レス) id: 779f64aa16 (このIDを非表示/違反報告)
あ - どうか、どうか続きをいただけませんか…？ (2021年3月4日 23時) (レス) id: f01f1c5c0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：C | 作成日時：2020年9月4日 23時
