その手はカキツバタには届かない (ページ21)

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Episode 18 ページ21

ポンポンとテンポよく進む会話が心地よい。第二次大規模侵攻が終わった後なのに変わらぬ日常を送るこの場所が嬉しくて、羨ましくて泣きそうになる。

隊員は攫われただけで誰も死んでいない。最高だ。攫われただけならちゃんと生きている。生きているなら助けられる。千佳が攫われていないならアフトクラトルの国力が笑うしかないほどに強大なものになっていることも無い。思わずニヨニヨと笑いそうになったのを気持ち悪いぞと言われて慌てて表情を引き締めた

｢ほら、もう用はないだろう。邪魔だ、その締まりのない顔をなんとかしてさっさとランク戦ブースにでも行け｣

『はーい。ふふ、そっかぁ……修、ちゃんと生きてるのかぁ……良かった』

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『というわけでポイント貰いに来ました！』

｢簡単には渡さないぞ？俺も早くB級上がらないといけないしな｣

『知ってる。2本目とはいえ爆撃対処してちゃんと斬りかかって来たの結構感動したんだよね、流石だ』

｢アレは経験ない奴には来るとわかってても逃げれないだろうな。範囲も広いし火力もあるしで初見じゃ対処も難しい。現にそうやってポイント搾取してたみたいだし？｣

『血反吐はいて積み上げた戦術よりも単純な大火力の方が強いって身をもって経験したからな、実際にしてみたら面白いくらい簡単に倒れるもんで。シンプルイズザベストってわけだ。困ったらとりあえず更地にしたらいいって聞いたし』

ボーダーを騒がせた謎のゲート発生事件から2日後。未来から来たと言う不審な子供の連行とその子供との取引が秘密裏に行われ、とりあえず害はないと判断した上層部により入隊が認められたという出来事があったとは微塵も感じさせない基地の中。その基地の一区画、C級ランク戦ブースは現在、大変な賑わいを見せていた。

和やかな談笑にしか聞こえない声色で囁かれる物騒な内容。とはいえここはボーダー、その程度の内容ならそこかしこで話題に出るありふれたもので、衆目を引く理由にはならない。ならば何故大勢のギャラリーが居てその中にチラホラと正隊員が混ざるなんてことが起きているのかと言うとこの会話が高度な戦闘を繰り広げながらされたものだからだった。

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お久しぶりです