Episode 14 ページ17
「…まぁいい。その他のボーダーのトリガーについては？2、3年とはいえ未来なら様々なトリガーが開発されておったのではないか？」
鬼怒田の疑問にふむ、と唸ったAは正直に答えた。
『どのようなトリガーがあったのか。その機能と運用については答えられる』
「そのトリガーの構造や開発といったような技術的なことは？」
『無理。技術的な面で俺が出来ることの範囲超えてる』
思わず黙り込んでしまった鬼怒田に城戸が訊ねた。
「どうだね、鬼怒田開発室長」
「……正直微妙なところですな。近界製のトリガーがどの程度のものなのかによるかと。黒トリガーを差し出すと言われた方が価値がある」
「じゃあ純粋な戦力として考えたらどうだ？」
Aの耳から外した黒トリガーを指先で弄んでいた太刀川が口を挟んだ。俺の大事な妹の形見なんだから壊さないでよとAに言われ、謝ってから机の上に置く。サイズとしては2、3センチ。遊真の
彼の妹は何を思ってこのピアスに姿を変えたのだろう。親父みたいに兄を助けようとしたんだろうか。最期は、笑っていたんだろうか。
この取引の結果彼の身柄がどうなるにせよ話はしたいなと考える遊真の思考を遮るように太刀川が自分の考えを主張する。
「
『あれはほら、初見殺しがたまたまハマっただけでだな』
｢おいおい、初見殺し決まっただけであそこまでやられるほど甘くねぇよ｣
｢ちょっと。閃光弾とか言う初見殺しかつ隠密トリガー殺しされただけで手の内晒した今ならあそこまでの醜態晒さないよ｣
「それは……仲間となったら心強いのでは」
「実力は俺も認める。ただなぁ、だからこそ信用できないコイツを入れるのは危険じゃねぇか？」
ばっさりと切って捨てた林藤に反論する者はいなかった。
会議室に沈黙が落ちる。
やり取りを静観していた唐沢が落ち着いた口ぶりでAに話しかけた。
「さて……どうやらキミの差し出したものは取引材料としては弱いようだ」
『みたいだね』
あっさりと認めてみせたAへ唐沢は興味深そうな視線を向ける。
「まだ何か隠し玉がありそうだね」
『ーーー近界側を写す衛星カメラ。記録媒体付き。それが手に入るとしたらどう？』
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作者名：βカロチン | 作成日時：2019年2月22日 22時
