No.56 ページ11
｢トリオン兵だと！？｣
『自立思考ができるトリオン兵はかなり珍しいな、初めて見た』
トリオン兵、と名乗った炊飯器のようなものの言葉にいち早く反応をしたのはやはりと言うべきか三輪だった。近界民全員ぶっ殺す思考の持ち主なので当たり前、といえば当たり前なのかもしれないが本当に見境なしか、と少々呆れもする
《私の中には、ユーマとユーゴの旅した近界の国々の記録がある。恐らく、そちらの望む情報も提供できるだろう》
喉から手が出るほど欲しいものを提供出来る、と聞いて明るい顔になる面々。気持ちは分からなくもないがそう簡単には行かないのが世の常だ。基本的に一方的に与えられる物なんて潜在していないのだから仕方ない
《だが、その前に。ボーダーには近界民に対して無差別に敵意を抱く者もいると聞く。挙句、曖昧な括りで本来被害者であるはずのものにまで言いがかりで敵意をむけるものもいるらしいな。私自身、まだボーダー本部を信用していない》
近界民に大切な人を殺されたり家を壊されたりしたものがいるのだから仕方ない、というのかもしれないが無差別というのは過剰だ。男に親を刺されたからこの世界の生物学上雄に分類される人間という種族は皆敵で仇だ、と言うくらいにはぶっ飛んでいる。戦争には向いている思考回路ではあれど日常生活を送る上ではその過剰な思考はお互いにとって邪魔にしかならない
《ボーダーの最高責任者殿には、私の持つ情報と引き換えに、ユーマの身の安全を保証してもらおう》
(何を言っとる人形め。口約束などどうとでもなるわい)
(…とかまたくそみたいなこと思ってる顔だな、アレは。馬鹿みてえ)
破る前提で約束するなら最初からしなければ良いのに、と思う。もちろん、そうはいかないのだって理解している。なんせ、表面上だけでも約束しないと話は先に進まないのだから。
ここで断る、なんて言ったらきっとレプリカは何も話すことは無いと口を閉ざすだろうし遊真はそれなら、と己の相棒と共に退室するだろう。そうなればボーダーとしては困るのだ。遊真達が退出すれば次に情報を吐け、と迫られるのはAだろうがAは近界に存在する全ての国がどんな場所かなんて知らない。そうなれば事前情報がほとんどない知らない国が攻めてきて玄界が壊滅する、なんて可能性も出てくる。それはそれでざまぁみろ、と思うけどな。なんて口にしたら最後、なんらかの罰則が与えられかねないことを考えていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 113人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヲタクメガネ - 頑張って下さい=∀=応援してます！面白かったです♪ (2019年2月2日 13時) (
レス) id: 3e08522e7d (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - とても面白かったです！続きも頑張ってください(*^^*) (2019年1月27日 19時) (レス) id: 4584690b17 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：βカロチン | 作成日時：2019年1月17日 14時
