【WT】ゼラニウムの苗を抱く【男主】

No.12 ページ14

ベランダにいた古寺を狙った弾丸をシールドである程度防ぎ、1度中に入って反対側に位置する部屋のベランダから離脱を図ることにする。そのまま飛び乗りるといい的だ

弾丸がシールドに着弾して火花を散らす。今までいたベランダとその周囲が弾丸で無残な姿になっていくのが想像できてしまう。一応放棄地帯とはいえ人の家なのだがきっと相手はそんなこと考えていないのだろう。とりあえず困ったら更地にして狙撃場所潰そうぜ、な強硬策を取れる火力の持ち主がマンションごと更地にしなかったのならそれだけでマシなのだと思いたい

的確に古寺のいたベランダを狙い撃ちする。これだから煌月の相手はしたくない
上から見下ろすのと、下から見上げるのとでは視界が違う

古寺から煌月が視認できたのは地の利とイーグレットのスコープがあったからこそ
肉眼で発見するなんて、普通ならほぼ不可能に近いのだ。残念ながら今自分を追い立てている相手の目は特別性なのでそんなことは一切関係ないのだが
文句で頭の中がでいっぱいだが、ここでハチの巣にされてやるわけにはいかない
早く離脱しようとして飛び降りようと足が地面から離れた瞬間、マンションの周囲を弾丸が包囲した


「こっっっわ！」


マンションの壁面に手をかけぶら下がり、ぎりぎりのところで回避成功した
着地する予定だった地面は弾丸でアスファルトは砕かれ、１階部分のガラスはすべて破砕され、飛び散っている
あのまま着地していたら、間違いなく緊急脱出していた
視認できないのは物理的に物で遮られているせいで、ならばまだマンションの中にいるのだろうと当たりをつけたのだと思われる攻撃に冷や汗が流れる
追撃がないのを確認して、地上に着地する。おそらく煌月が弾丸を放ったであろう位置とは逆の方向に駆けだす

背後から弾丸が飛んでくるような、背中が焼けるようなチリチリとしたプレッシャーを感じながら走る
そんな事を気にしてはいられない。機動力に長ける煌月が追いついてくる前に距離を取り、体制を整えなければ
走りながら作戦室の月見に声をかける


「煌月のあの弾って」

『おそらくバイパーのフルアタックだと思う』

「バイパーであんな火力でましたっけ…トリオン能力の差かな…」

『それだと貫通力上げたコブラかしらね。彼、合成弾滅多に使わないけど使えるでしょう』

「前に合成に時間がかかるからあんまり好きじゃないとかなんとか言ってましたけど……使えない、とは一言も言ってないですね…」

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