【HQ】幼 馴 染 。【稲荷崎】

Episode.一ノ瀬 ページ3

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「じゃあこの問題を、一ノ瀬」

『はい』



明らかに難しい問題を当てられた。しかし焦ることもなく黒板の前に立つ。誰一人の声も、教科書をめくる音もせず、カツカツとチョークの音だけが教室内に響く。
みんなの視線が、私に向いているのが背中越しにわかる。



『解けました』

「うん正解だ。流石一ノ瀬だな。みんなも見習えよ〜」



席に戻る時もみんなの視線は私の方に向いている。理由？そんなの一つだ。



「みーんな一ノ瀬さんに見惚れちゃって。狙ってるでしょ？」

『狙ってない狙ってない』

「まぁ狙ってなくても一ノ瀬さん意味分かんないくらい美人だから誰でも見惚れるだろうけどさ」

『意味分かんないってなに』



ニヤリと笑って私を見る、隣の席の角名倫太郎。
その顔は美人と褒めて私を照れさせたいのか、ただ単にからかってるだけなのか。コイツは私に向かってよく同じことを言う。隣のイケメンに美人と言われて照れない女は居ないだろうけど、



『私が綺麗で美人なんて、周知の事実じゃん？』

「ぷっ、一ノ瀬さんのそういうところ、良いと思うよ」

『ありがと♡』



当たり前のことを言われて照れる女も居ないでしょう。

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