【炎炎ノ消防隊】第7特殊消防隊無能力中隊長 (ページ2)

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見廻りという名のページ2

朝食後は紅丸とAが一緒に見廻りをするのが日課だ。

「あら紅丸ちゃんにAちゃん、おはよう」

『おはよう』

「相変わらず紅ちゃんと嬢ちゃんは一緒にいるなぁ」

『鍛冶屋のおじちゃんもおはよ。まぁ幼馴染みだからね』

「紅ちゃーん！今夜飲みに付き合ってくれよ！」

「…朝っぱらからなんちゅー誘いだよ」

浅草の人気者の2人は、毎日のように見廻りという名の散歩をしていた。
寄り道をしながら浅草を一周。道中困っている人には片っ端から手を貸していた。中には話しを聞いて欲しくて引き止める人もいる。

「お嬢、今日は髪結ってないんだな」

『昨日愛用の簪が折れちゃってねェ』

「あらあら。そうなのかい？そりゃ大変だねぇ。Aちゃん、うちの所でまた買ってくかい？」

『ん！おばちゃんとこの簪好きだから是非！』

「それにしても何やったら簪が折れるんだァ？」

『紅と組手する時に外したんだけど、地面に落としちゃっててね…それに気付かず組手中の紅が踏んじゃったんだよ』

「そうかぁ…だから紅ちゃんがお嬢の簪選んでるんだな」

『は？』

思わず素っ頓狂な声を出してしまったAだが、ほれ、と指を指された方を見れば確かにおばちゃんの店で簪を選ぶ紅丸の姿があった。

「おいA、こっち来い」

呼ばれるがままに紅丸の元に駆け寄れば、手には綺麗な紅色の簪が握られていた。

「ここ座れ。ババア、櫛貸せ」

「はいな」

言われるがまま大人しく座っていれば、Aの長い髪を紅丸は慣れた手つきで梳いていく。
そして髪を低めの位置で団子に結い、手に持っていた簪を刺す。

「出来たぞ」

鏡を渡されれば、綺麗な髪型に綺麗な見慣れない簪を着けるAの姿。自分でも綺麗だと思うほどに似合っていると感じたAは嬉しくなった。

『流石紅！器用だしセンスあるじゃん！』

「当たり前だろォが」

『おばちゃん！この簪買うね！』

「お代は既に紅丸ちゃんから貰ってるよ、大事におしよ」

『えっ、紅…いいの？』

紅丸は頭をガシガシと掻き、決まりが悪そうにAを見た。

「…元はと言えば俺の所為だろ。悪かった」

『別に気にしてないのに…でも、ありがとね』

Aが笑うと、紅丸はAの頭をポンとひと撫でしてぶっきらぼうに行くぞ、と腕を引いた。