短編集［S.S.］ (ページ3)

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#雨の日に ① ページ3

私には片想いをしている幼馴染がいる。
その幼馴染の名前は………末吉秀太。
この気持ちに気付いたのはつい最近。

親友の実彩子に相談したら
告白すべきって言われたけど
昼休みに同じクラスの春香ちゃんに
告白されてるのを偶然目撃してしまった。

秀太の返事は聞こえなかった…
いや、聞けなかった。
でもOKして付き合ったんだろうな。
春香ちゃん可愛いし
秀太の好みそうな子だしって思って
毎日一緒に帰るのに
今日は黙ってひとりで帰ることにした。

授業が終わって

貴「実彩子！また明日！」

実「ん？A、今日はひとりで帰るの？」

貴「あっ、、うん。ちょっとね、、んじゃあ！」

そう言って急いで教室を出て昇降口に来ると

(貴「あっ…最悪。雨降ってきちゃった…」)

(貴「しかも傘持ってくるの忘れた…」)

(貴「んー、まあ濡れてもいっか」)

そう思って外に出ようとしたとき

秀「A ？」

貴「あ！…秀太」

秀「あ！じゃねぇよ」

秀「なんで先帰ろうとしてんの？」

明らかに怒ってる。
でも一緒に帰って春香ちゃんに誤解されても困る。
そう思って

貴「ちょっと今日用事あって」

貴「だからわたし帰るね！ …じゃあ！」

そう言ってその場から立ち去ろうとしたら
思いっきり腕を引っ張られた。

秀「傘ないのに？」

貴「うん」

秀「こんな降ってんのに？」

貴「…うん。だって走ったらすぐだし！」

秀「全然すぐじゃねぇし」

秀「あとお前、走るの遅ぇくせによく言うよ」

貴「そんなことないもん」

秀「家隣なんだし、俺の傘に入ってけよ」

いやいや。無理だよ。
彼女がいるひとと相合い傘なんて。

貴「だから今日は用事あるから家に直帰しないの」

貴「てか腕痛いから離して？」

秀「…嫌だ」

貴「え？」

秀「だって…」

貴「だって？？」

秀「お前が風邪引いたら困る」

貴「なにそれ！笑
いつもなら馬鹿は風邪引かないとか言って
馬鹿にするくせに」

秀「そんなこと…な…」

貴「そんなことあるから！」

秀「じゃあこの傘使えよ。俺が走って帰っから」

なんでただの幼馴染にこんな優しくするかな。
もう嫌だよ…
好きなのに…

貴「な、なんで…」

秀「え…？」

貴「なんでそんな優しくするの？」

貴「そんな風に優しくされたら迷惑なの」

貴「離して。もうほっといてよ！！！」

私は思ってもない事を口にして
秀太の手を強引に振り払って
強い雨が降る中泣きながら走って帰った。