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6 crystal* ページ9

貴女side


私は今まであった出来事を話すことにした。


その間オロチさんはずっと私の話を聞いてくれていた。



「ある日、私のところにファントムという邪悪な生き物がおそってきました。

私がセレスティアルティア族の最後の生き残りですから……。

恐らく、その物の力を狙っているんだと思います。えっと、これなんですけど…… 」


オロチさんに大切なネックレス状のコンパクトを見せることにした。


そのコンパクトの中には代々伝わる“ティアクリスタル”。


いうなら、涙が水晶になった物が収まっている。


「なんだ?それは…… 」

「これは、母と別れる直前にもらったもので、ティアクリスタルというようです。

このクリスタルはお守りのようなもので、力はないらしいんですけど…… 」



このクリスタルを他の人に見せたのは、オロチさんが初めてだった。

これは、私の宝物なの。

「……綺麗だな」


オロチさんは珍しそうに水晶を眺めているようだった。


「大切にしているんです。母の形見でもありますから…… 」


私はそういいながらコンパクトを閉じ、再び首に掛けた。


「そういえば、おまえお腹すいてないか?」



どうやら倒れてから、もう数日も経っているらしい。



なんだか少し悪い気もするけど、時々お腹がなるのが聞こえている。


「あ、空いています…… 」


我ながらに気力の無い言葉で言ったと思う。


するとオロチさんは、


「そうか、少し待ってろ」と云って部屋を出ていった。

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作者名:すみ恋。 | 作成日時:2015年3月21日 13時

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