*･゜ﾟ･*:.｡..:*奇跡という名の涙水晶*･゜ﾟ･*:.｡.:*･【妖怪ウォッチ】 (ページ2)

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Prologue2＊ページ2

何処に続いているかも見当もつかなかったが、影を撒くように勢いよく入口を通り、トンネル全体の半分くらいまで走ったところで足の速度を落とす。
中は暗く、するりと冷たい風が頬を撫でた。

　恐る恐る振り返ってみても撒くことに成功したのかあの影が追ってきている様子はない。そのことに胸を撫で下ろした途端、どっと濁流のように疲れが押し寄せてくるのを少女は自覚した。もう一歩も動けないと、その場にしゃがみ込み息を潜める。

いつのまにか影は最初から何もなかったかのように消え去っていた。

「よかった、助かった…… 」

ほっと安堵のため息をつくと同時に思わず言葉が溢れるが、その声を拾った者がいるはずもなく。

真夜中暗いトンネルで1人になった少女に先程とは別の少しの恐怖と寂しさが襲いかかる。逃げるのに必死だった時と引き換え、“1人”ということを急に意識させられたように感じたのだ。膝を抱えるように小さな体を丸め込む。地面や服が走った際に飛び散った泥で汚れていることはもはや気にならなかった。

(ああどうしてこんなことになってしまったの)

誰かこの1人ぼっちの私を見つけてくれないだろうか。たまたま通りかかる人が居たりして____と明るい考えが一瞬浮かぶが、直ちにそんなことあるはずがないと思考を打ち消す。

(なんてね。こんな夜中にいるはずもない)

じわりと目に浮かんだ涙に気づかないふりをして、もうこのまま寝てしまおうと彼女は固く目を閉じる。
これからのことは次に起きた時に考えることにしようと一旦考えることを放棄して眠りについた。

(そして目覚めた先で少女の新しい物語が幕を開けるのだ)