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悔しかった。
俺はAにいつもカッコよくいて欲しくない。
自分を偽らないでありのままの自分でいて欲しい。
なのに、その言葉すら言えないままAに差し伸べた手は振り払われてしまった。
自分の部屋に帰った俺はしばらく考えた。
このままファンの心のない言葉で傷ついた心が癒されたとしても。
でも結局Aはカッコよくなきゃいけないって思いながらこのまま活動していくんだろう。
俺はどうしてもそれを防ぎたかった。
これはただの俺の自己満足かもしれないけど。
俺が好きになった女の子は、ありのままで、何も着飾らなくたって十分なんだって、そう伝えたかった。
別にカッコよくある必要はないんだよって教えてあげたい。
そこで思いついたのが、歌をAに送ろうってことだった。
歌を歌って、それをAに贈ったら、Aも少しは考えてくれるかもしれないって。
それに、もし歌を歌ってそれを投稿すればファンだって気づいてくれるかもしれない。
確かに舞台でのAはすごくかっこいいけど、そうじゃなくて、プライベートはありのままのAが一番なんだっていうことに。
俺はずっと前から聴いてた「Just The Way You Are」を歌うことにした。
この歌は俺の今の気持ちにぴったりだった。
よし、そうと決まれば早速事務所に行って歌を録らなくちゃ。
そう意気込んで、俺は颯爽と事務所に向かった。
結果として、その作戦は大成功だった。
あの歌を歌って、それを投稿して。
聴いてくれたAは俺の部屋に来て号泣した。
ありがとうって。
何回もそう言って俺にしがみつきながら泣いた。
俺も少し泣いてしまった。
Aは自分のことで精一杯で気づいていないみたいだったけどね。
Aの涙はどう見ても嬉し涙じゃなかったけど、でもまあ、別に悪い意味の涙でもなさそうだから今回は俺は俺を許そうと思う。
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紅蘭(プロフ) - かのんさん» 一番だなんて恐れ多いですが、ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2021年6月9日 23時) (
レス) id: 494c8cd1da (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 紅一点で一番好きなお話です！これからも楽しみにしております(評価つけ終わってるのに毎回押しがち) (2021年6月8日 18時) (レス) id: 81bb9ddb3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅蘭
| 作成日時：2021年6月2日 12時
