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事務所の中をウロウロとしていると、ちょうど練習室から最も離れた部屋の隅でAを見つけた。
Aを見つけたらすぐにでも声をかけようと思っていた僕は少し躊躇をしてしまった。
だってAが静かに泣いていたから。
僕らが出会ってから、僕たちは誰もAの涙を見たことがなかった。
「うー...」
何やら呻きながら体育座りで足の間に顔を埋めているA。
必死に涙を止めようとしてるのか、ときおり顔を上げては涙を練習着で拭いている。
それでもその涙は止まらない。
僕は見ていられずに声をかけた。
JN「そんなに目擦ったら痛くなっちゃうよ」
「ぅ...オッパ、なんで...」
JN「あー、うん...。練習戻らないかなぁって思ったけど、でも無理そうだね」
「無理、じゃない...！無理じゃないです！」
JN「そうは言ってもねぇ...」
練習は続けたいんだろう。
無理じゃない、まだできると言い張るAだけど、どう見てもそうは見えなかった。
まだ頑張って涙を止めようとしているA。
その姿はとても必死で、どうしても練習を続けたいという意思がこっちに強く伝わってくる。
でもどうやら今日はやめた方が良さそうだ。
そう判断した僕は、とりあえずAの話を聞くことにした。
JN「それにしても、今日はどうしたの？いつもジョングギに何か言われても気にしないのに...」
「...今日は、ちょっと朝からイライラが止まらなくて...」
うん、それ、知ってた。
なんて言えず、僕は黙り込む。
Aヤ、君、気づかれてるってわかってなかったのかね。
僕はてっきり僕たちが気付いてるって知ってると思ってたよ。
「いつもはジョングギの言ってることも確かにそうだなぁって納得できるんですけど、今日は、なんか、イラってきて」
JN「うん、まぁ、今まで我慢できていたのがすごいと思うけどね...」
「だって、おかしくないですか。私だって頑張ってるのに。私は体力もあまりないし、今までダンスもほとんどやったことがなかったからいきなりこんな激しいダンスを踊れって言われても無理なんですよ。なのに、ジョングギはさも当然のように自分と同じレベルを求めてきて。自分はダンス留学もしてるのに...」
JN「そうだねぇ...」
じっ、と自分の足を見つめながら俯いてそう話すA。
Aの言い分がわかりすぎて僕は同意をすることしかできなかった。
ジョングクのあれはどう見てもAが気に食わないから当たってるからだし。
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紅蘭(プロフ) - かのんさん» 一番だなんて恐れ多いですが、ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2021年6月9日 23時) (
レス) id: 494c8cd1da (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 紅一点で一番好きなお話です！これからも楽しみにしております(評価つけ終わってるのに毎回押しがち) (2021年6月8日 18時) (レス) id: 81bb9ddb3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅蘭
| 作成日時：2021年6月2日 12時
