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あれ以来、学校なんて行く気に全くならなくて、
鈴蘭に入り浸る様になっていた。

ーこのまま学校を辞められたら。


そんなことばかり考える。

「おいA。お前いい加減学校行け。」


一週間くらい経ったある日。

多摩雄に突然そんなことを言われ、楽しい気持ちが一変した。


黙って何も返答をしない私に痺れを切らし、
「俺がお袋さんに怒られる。」と眉をひそめる。

「不良のくせに」


微かに聞こえる程度の声量で悪態をつくと、
「不良じゃねえ!」と反論される。

何をやっているかさて置き、一応毎日学校に来ている彼に、それ以上何も言えなかった。


「帰り迎えに行ってやるから。」

子供の様に不貞腐れて、屋上を後にした。


学校に行っても、いいことなんて一つもない。

そのまま屋上に直行して、大嫌いな教師や女子生徒を避けた。


鈴蘭の様に物が置いてあるわけではない為、
携帯をひたすらにいじり続けていたら充電がかなり減ってしまう。

携帯をポケットにしまい、柵にもたれた。


早く学校が終わらないかと盛大に溜息を吐いた。


放課後になり、駆け足で階段を降りた。

すれ違ったクラスメイトに、いたのかと睨まれるが、どうでもいい。


あと少しで、多摩雄に会えると心を弾ませた。

「常崎!」


どうしてこうも、タイミングが悪いのだろう。

昇降口で呼び止める声に苛立ちを覚える。


「女子生徒達から、常崎が定期テストで不正を働いたと報告を受けてな。今から、数学の準備室に来てくれ。」

身に覚えがないと否定するも、無理やり部屋に押し込まれた。


肩を押さえつける様に椅子に座らせられ睨んでも、そいつは目の前に平然と腰を下ろした。

解いてみろと机に置かれた問題用紙に溜息を零し、
転がっていた鉛筆を拾い、問題を解き始める。


全ての回答を終え、教師の目の前に叩きつけた。

鞄を掴み立ち上がろうとするも、採点を終わるまでは帰せないと、もう一度座らされる。


丸で埋められた、用紙にだから言ったのにと怒りがこみ上げる。

「僕は信じていたよ。」


信用の欠片も伺えなかった先ほどの発言に眉を寄せる。

「でも、信じてもらえない様なことをする君が悪いんじゃないか?」


そう言って太腿を撫でる手を払う様に立ち上がり、
夢中でそこから走り出した。

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meg - とてもおもしろいです! この続きが気になります!!更新頑張ってください、楽しみにしてます! (2016年8月15日 12時) (レス) id: 132a1b9566 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜三日月(プロフ) - とても面白いです!続きが気になります!更新頑張ってください! (2016年6月19日 20時) (レス) id: 8883c94f0d (このIDを非表示/違反報告)
豹王 - 面白いですね^ ^続きがとても楽しみです!!更新頑張って下さい(*´∀`*)待っています〜。 (2014年11月23日 19時) (レス) id: 05a4913f96 (このIDを非表示/違反報告)
みさき(プロフ) - 智崋@森早下さいさん» ご指摘ありがとうございました。 (2014年9月16日 8時) (レス) id: fa4bb1b6c6 (このIDを非表示/違反報告)
智崋@森早下さい(プロフ) - すみません、オリジナルフラグを外さないといけませんよ汗 (2014年9月15日 23時) (携帯から) (レス) id: e2044727cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Misaki x他1人 | 作成日時:2014年9月15日 21時

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