彼女の決意 ページ40
国見side
「消えてしまいたかった。」
話し終えた如月がそうぽつりと呟く。さっきまではいつかの抜け目ない彼女だったのに、話すのも億劫だとでも言うように目を閉じた。心なしか声が震えているように聞こえる。
「私が、手にかけたなんて信じたくなかった。あの子は私だった。私は、あの時自分を殺したようなものなんだ」
今まで何人もの人達に、同じようなことしてきたのにね。今さらショック受けるなんて笑えるでしょ？ 皮肉げに顔を歪め、キッと口を引き結ぶ。
「……そういうこと。私は、みんなの前から居なくなりたかった。みんな私を忘れてしまえばいいと思った」
「……随分勝手だね。Crow's Angelsのメンバーの気持ちはどうでもいいの？」
我ながら意地悪いことを言っている、その自覚はある。赤葦さんの視線が鋭さを増してるし。案の定如月も顔を歪めた。
「無事を知らせようかとは……思わなくもなかった。けれど、こんな私をもう皆に見せたくなかった」
「……如月が気にしてるのは、その子が死んでるかどうかってこと？ その子どもを殺したかもしれないってのが、お前が悩んでる原因？」
無言で頷く。余程堪えたのだろう、如月的には。似た境遇の、しかも見知った子どもだったのなら尚更。
でも、それぐらいで裏に引っ込んで貰ったら困る。……困る？ 何に？ まあいい、取り敢えず、
俺はこいつに引退されたくないのは確かだ。
「……生きてるかもって言ったら、どうする？」
「…………は？」
「その子ども。弾を撃ち込んだのは額？ 胸？」
「胸……」
目を見開いたまま、問われるがままに答えを口に出す如月。瞳に僅かに光が入る。
「ああ……なら多分生きてる。治安部隊の制服は防弾仕様だし、かなり優秀だし。お前がいつものグロック辺りを使ってたなら確実に」
「生き、てる？ あの子が？」
「恐らくね。……どうしたい？」
見開かれた目から、雫がこぼれ落ちる。本人は自覚なしだろう、こぼれるままにしている雫がシーツに落ちて吸い込まれた。
「……会いたい。会って、本当に生きてるか、確認して、それで、」
“謝りたい。偽善でも、自己満足でもいいから”
「……そう。じゃ、丁度いいかもね。」
「何が。」
不穏な空気を察したのだろうか、今まで口を全く挟んでこなかった赤葦さんが鋭く問う。
「お前個人への依頼、頼める？ 治安部隊関連の」
その瞬間、如月Aは完全に俺の知る如月に戻っていた。
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えま(プロフ) - えぬえぬさん» ありがとうございます！！ 久々の更新ですがよろしければ読んでやってください！ (2018年2月26日 21時) (
レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - tamaさん» ありがとうございます！！ 亀更新すみません…… (2018年2月26日 21時) (レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - 無気力ガールさん» ありがとうございます！！ 更新しましたのでよろしければ読んでみてください！ (2018年2月26日 21時) (レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えぬえぬ - すごくこの作品好きです！ 更新頑張って下さい (2017年10月29日 12時) (レス) id: 6c842c63e8 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - この作品とっても面白いです！！更新頑張って下さい！！ (2017年6月28日 4時) (レス) id: 04d6b2d3d3 (このIDを非表示/違反報告)
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