彼女の話 ページ39
え？
その隊員の顔が懐かしさから恐怖、そして絶望へと変わる様がはっきりと見て取れた。
そして、微かに耳に届いた“おねえちゃん”という声。
「おい、指示も出してないのに何で一人で突っ込んだんだ…」
「私が指示を出したんですよ白布くん」
「…………はぁ？」
聞こえない、雨の音がうるさくて聞こえない、水が流れる音がうるさくて聞こえない、
「私の指示で彼は突っ込んだんです。そして見事成果を上げた！」
「どこが。無駄死にさせてんだろうが」
「ほら、彼女の様子をご覧ください。戦意が無くなってるでしょう？」
「……！！」
ああ、うるさい、うるさい、うるさい、水の流れる音がうるさい、
「何でそんなことに……」
「あの兵士はね、石野マフィアで助けた子どもの一人だったんですよ。しかも彼女と接触がある」
『……お姉さんもなの？』
『！！？ ……うん。』
水の流れる音の中で、いつかのそんな台詞が耳に残る。
「聞けば子どもたちを助けるよう進言したのは彼女だったとか。どんな気分ですかぁ？？ 自分が助けたはずの子どもを自分の手にかけた気分はぁ？？」
男の顔は目に入らないが言葉ははっきり耳に届いた。
手にかけた？
手にかけた？
私が？
あの子どもを？
…………嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだうそだうそだうそだうそだだうそだうそだうそだうそだうそだだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ
濁流の流れるような音が頭にずっと響いている
うるさいうるさいうるさい水の音が、水の流れる音が、頭に響いてうるさい、雨の音がうるさくて、考えがまとまらない、いや、待てよ
きょう、あめなんて、ふってたっけ。
頭の中で何か割れるような音がした、気がした。
「どんな、気分、かって？」
ねぇ、何で貴方がそんな顔すんの。
敵側でしょう、いくら過去の私を知っていたとしても、さ。
そんな壊れ物の人形を見るような目で見るのは失礼ってもんじゃない？
あと、いっぽ。あと、いっぽでビルのふち。
銃に手をかけ、ビルの縁に背を向ける。
「どうって、死にたい気分だけど」
体を後ろに傾け、サブマシンガンの引き金を引ききった。
誰かの怒鳴り声、銃の振動、濁流の音、私が落ちていく感覚。
そのあとは、覚えていない。
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えま(プロフ) - えぬえぬさん» ありがとうございます！！ 久々の更新ですがよろしければ読んでやってください！ (2018年2月26日 21時) (
レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - tamaさん» ありがとうございます！！ 亀更新すみません…… (2018年2月26日 21時) (レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - 無気力ガールさん» ありがとうございます！！ 更新しましたのでよろしければ読んでみてください！ (2018年2月26日 21時) (レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えぬえぬ - すごくこの作品好きです！ 更新頑張って下さい (2017年10月29日 12時) (レス) id: 6c842c63e8 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - この作品とっても面白いです！！更新頑張って下さい！！ (2017年6月28日 4時) (レス) id: 04d6b2d3d3 (このIDを非表示/違反報告)
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