止まらないのは何故なのか ページ17
Aside
走る。
階段を駆け上がり、無我夢中で上へ上へと進む。
……そうすれば、痛みを感じないような気がしたから。
たまに階段を下りてくる敵を撃ち、それ以外では止まらないようにしていた。
(…………あ、)
「……ごめん、大丈夫…………だね。」
後ろを気にせずに走っていたことを思いだし、二人の居る後ろを振り向くも、
余裕でついてきていた。
……けれど、私の方を見上げた瞬間、おばけでも見たような真っ青な顔をして、
「……おま、お前、…………それ、本当に大丈夫なのかよ……？」
そう言って指を指す。
「え、なに、が………………あ？ え、あ、……な、にこれ……？」
……赤。
赤が胸元に広がっていた。
肩口だけだったはずの血の痕は、いつの間にかジャケットの左半身にまで広がっている。
(確かに止血はしてなかったけれど……ここまで血が止まらないのは何で？)
……いや、今はそれどころじゃない。
「……二人とも、私の左側に“来 な い で”。いざというときに庇えない。」
痛みはそれほどでもないが、咄嗟に動きが鈍るようでは困る。
……けれど。
「……ねぇ影山、そっちは私の左側だよ。」
日向は私の前に、……影山は私の左側についた。
「……左側が上手く使えねぇんだろ？ …………なら、俺が左を守ればいいだろ。その代わり、」
“お前は俺の右を守ればいいんだから”
「おれは、敵ん中突っ込んで混乱させるほうが得意だから前な！」
「うん…………」
二人は私を気遣っている訳では別にないのだろう。
……なのに、私の気持ちを軽くしてくれるのは何でなんだろう。
「わかった。右は任せ、て……」
(…………右も危ないかな。)
……視界が揺れる。
ぐにゃりと周りの景色が歪む。
……と、前を走っていた日向がぴたりと音も立てずに止まった。
そして、
「……人が走る音が上からした。大勢。……それに、」
“エレベーターの音も。”
(……っ、中の状況を知らないから敢えて使わないでおいたけど……)
向こうは普通にこの建物の設備を使えるのだ。
「……でも、屋上までは遠くない。」
冴子姉さんたちの事は、心配しなくても大丈夫だ。
「「「……走るか。」」」
言うなり、階段の出口から屋上へ続く道を目掛けて走り出した。
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えま(プロフ) - えぬえぬさん» ありがとうございます！！ 久々の更新ですがよろしければ読んでやってください！ (2018年2月26日 21時) (
レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - tamaさん» ありがとうございます！！ 亀更新すみません…… (2018年2月26日 21時) (レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - 無気力ガールさん» ありがとうございます！！ 更新しましたのでよろしければ読んでみてください！ (2018年2月26日 21時) (レス) id: 8f82649d25 (このIDを非表示/違反報告)
えぬえぬ - すごくこの作品好きです！ 更新頑張って下さい (2017年10月29日 12時) (レス) id: 6c842c63e8 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - この作品とっても面白いです！！更新頑張って下さい！！ (2017年6月28日 4時) (レス) id: 04d6b2d3d3 (このIDを非表示/違反報告)
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