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95話 ページ16

天竺のアジトと聞いてスマイリー君とアングリー君、そして千冬と乗り込んだ横浜の倉庫街。

そこにいたのは総勢100人の天竺と1人の幹部。

しかし今はその人影はほぼなく、倉庫内にいるのはオレを含め2人。

オレと、

「黒川イザナを救ってくれ」

天竺の幹部である、数年来会っていなかった友達のカクちゃんこと鶴蝶。

そのカクちゃんはオレと話したいからと先程殴り合っていたスマイリー君にわざと負けた……らしい。

ちなみにオレは信じていない。だってあのカクちゃんだ。

たとえ四天王だとしても強いだなんてオレは信じない。信じないから!!


閑話休題。


「救ってくれって……どういうこと?」

真っ直ぐな目でオレを見るカクちゃんに思わず聞き返した。

「オレはこの抗争をよく思ってねぇ」

イザナは稀咲って野郎に利用されてる、とカクちゃんは続ける。

オレの脳裏に浮かぶのはヒナや千冬、マイキー君の顔。

「っ……!!」

稀咲……!

せり上がってくる感情を抑えるようにオレは拳を強く握った。

そんなオレをカクちゃんは不思議そうに一瞥すると、続け様に衝撃的なことを呟いた。

「Aだっていつ稀咲に手ェ出されても可笑しくねぇのに……っ!」

……………ん?A?今カクちゃんAって言った!?

「Aって、黒脛さんのこと!?カクちゃん黒脛さんのこと知ってるの!?」

「Aはオレとイザナと同じ孤児院出身だ。それよりお前の方こそAを知ってんのか……?」

カクちゃんの発言にオレは開いた口が塞がらない。

「孤児院出身!?しかもカクちゃんと黒川イザナと一緒の!?」

「あ、あぁ……イザナとオレとAと、3人でずっと一緒に過ごしてた」

「あっ、あの人自分の話しなさ過ぎだろ……っ!!」

「半ば無理矢理だけどアパートを引き払ったのもイザナだ。Aは今イザナと一緒にいる」

思わず頭を抱えた。

脳裏にオレを鼻で笑う黒脛さんの姿が浮かび、頭を振って慌ててその姿を消し去った。

しかし、これはチャンスではないか?

黒脛さんの居場所を知ることもそうだが、黒脛さん自身を知ることも、取り戻すこともできるんじゃ……?

ごくりと唾を飲み込み意を決してオレはカクちゃんに質問する。

「黒脛さんってどんな人?あの人全然自分の話しないし、全部が全部謎なんだけど……」

「Aか?Aは……よく分からない奴だ」

「へ?」

カクちゃんの口から出た言葉は予想の斜め上を行くものだった。

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作者名:雨野夜都 | 作成日時:2021年11月28日 17時

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