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90話 ページ11

「此処がオレらの拠点な」

「埠頭じゃん……闇取引が行われてそうな」

「一言余計なんだよ」

背負われるまま連れてこられたのは大量のコンテナが置かれた埠頭。

昼間はまだいいが夜になったら不気味な雰囲気が漂いそうな場所だ。

「大将、此奴このまま竜胆が背負ってていいの?」

「イザナは背負ってくれないの?」

「これから幹部連中に会うのにお前背負って出てくのは格好つかねぇだろ」

「つーかそんな状態で大将が幹部従えてるの見たくねぇよオレ。ミスマッチ過ぎて笑っちゃう」

「んな姿見るくらいならオレらが背負うっつーの」

はいた兄は確かに爆笑しそうなイメージだ。竜胆君は優しんだか鬼畜なんだか……。

が、しかし。

「鶴蝶に背負われたい」

「大将此奴海に沈めていいか?人の親切心無下にしやがって」

「いいわけねぇだろ殺すぞ」

そんな物騒な会話を続けながら奥へと進んでいく。

……あれ?はいた兄オレら以外にも幹部いるよって言ってたけど全部で何人?

ふと疑問に思っていることを竜胆君の少し前を歩くイザナに問う。

「イザナ、幹部って何人いるの」

「あ?全員合わせて8人。つっても内1人は参謀だし、1人は別件で今此処にはいねぇ」

…………ん?

「翔奏がいるのに参謀?」

「そいつは総参謀。神凪も一応参謀にはしてる……けど、多分仲良くはなれねぇだろうな」

会ったら神凪の一方的な罵りが始まるんじゃねぇの、とイザナはまるで他人事。

「なぁにー?神凪って誰?可愛い?」

「兄貴やめろって」

どうやらイザナがまだ話していないのか翔奏の名前が出ると途端に興味を示したはいた兄。

「翔奏は可愛いよ」

「お前の携帯に盗聴と位置情報把握するシステム組み込んで監視してるイカれた女が可愛いって?お前可愛いの判定ザルだな」

イザナは苦虫を噛み潰したような顔をする。

「お前らAが携帯持ってる時に此奴に手出したら神凪の報復が待ってんぞ」

よく分かってらっしゃる。

「今はまた介護疲れで寝てると思うから平気。それに自分が口添えすればちゃんとやめてくれる」

「神凪の方に手出したらAがキレるからやめとけよ」

よく分かってらっしゃる。

……ん?

「2人共固まってるんだけど」

何故かチベットスナギツネのような顔をする灰谷兄弟。

ぺちぺちと頬を叩くが反応なし。

「……?2人共どうし──」

「どうしたじゃねぇよ!」

流石に心配になって再度声を掛けようとしたら竜胆君に怒られてしまった。

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作者名:雨野夜都 | 作成日時:2021年11月28日 17時

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