内緒話で大波乱５ ページ13
「も、申し訳ありません。じ、実は…
さくらさんと会っていました。
ですが、やましいことは何もありません。」
頭を下げながら、キャメルは謝罪する。
「やましい事が無いなら、何のために会って
いたか教えるんだ。 二人で何を話していた？」
「そ、それは…。」
そこまで言ってキャメルは押し黙る。
「私からは申し上げられません。」
「なぜだ。」
「さ、さくらさんと約束をしたからです。
決して口外しないと。」
「さくらと？」
二人だけの秘密だというのか？
キャメルには話せるのに俺に隠し事とは…
いったいどういう事なんだ。
昴は内心穏やかではない。
その時だった。
リンゴ〜ン
来客を知らせるチャイムが鳴った。
「キャメル。ここで待っていてくれ。」
昴はそう言い残してリビングを出て行った。
しばらくして、リビングのドアの向こうから
「ちょ、昴さん！ 痛いよ。どうしたの？」
というさくらの声が聞こえた。
ガチャ
ドアが開くと、右ひじを掴まれたさくらが
昴と一緒にリビングに入ってきた。
キャメルの姿を見たさくらは、
「あ！」と言ったまま、瞬時に状況を把握した。
「二人とも。どういうことか話せ。」
昴のチョーカーの電源は切られたまま。
ウィッグとメガネを外すと、赤井の姿と
なって二人の顔を見た。
さくらは下を向いたまま微動だにしない。
赤井はそんなさくらをじっと見つめ、声をかけた。
「話してくれなくては分からないだろう。」
さくらは黙ったままだった。
なぜ話さないのか。キャメルは知っている。
だがこれ以上の黙秘は、決して良い結果を
生まないだろう。はぁ…とため息をついて、
キャメルは顔を上げた。
「さくらさん。これ以上は隠せません。
自分が話します。良いですね。」
キャメルが諭すように声をかける。
さくらは観念したように、コクリと頷いた。
「実は…私はさくらさんから、ある任務を
お願いされたんです。」
「任務？」
違う警察組織に所属しているのに、
公安のさくらがＦＢＩのキャメルに任務？
全く意味が分からなかった。
「あ、いえ。任務というより…お願いごと…ですね。」
「そのお願いとは何だ？」
「…。」
キャメルはさくらの事を思い、一瞬躊躇した。
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作者名：aki | 作成日時：2020年1月22日 13時
