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急襲1 ページ47

早朝———

 日が昇る直前、昴とりおは深夜に聞いた悲鳴のような音を確かめるべく、山の中を歩いていた。
「深夜で静かだったし、気温も低かったから音は良く通ったんじゃないかな。
旅館からは結構距離があるかもしれないね」
「ええ。滝のあたりまで行ってみましょうか」

 遊歩道のように整備はされているが、かなり道は悪い。
りおは息を切らして歩いていた。
「りお、腹の傷は痛みませんか?」
「大丈夫。それよりも…」
「ん? どうしました? どこか痛いですか?」
「……こ、腰が…」
「あ〜……(察し)」
「連日…しかも毎回私が落ちるまでって…あなたは鬼ですか? それとも悪魔?」
「それは彼(赤井)に言ってください。私ではありませんから」
「そうやって昴さんも秀一さんも、別キャラのせいにするんだから…」
都合よくキャラのせいにする昴を睨んだ。
「りお、そんなに睨むとかわいい顔が台無しですよ」
「いいもん。他に人がいるわけじゃな…」


ガサガサガサッ!!

 憎まれ口を叩こうとした時、草木の揺れる音がした。
明らかに誰かいる。
「ッ!」
昴はとっさに物音がしたところへ駆け出した。
「す、昴さんッ!」
りおは慌てて後を追いかけた。



しばらくすると———


 ガラガラガラ…ズーンッ!


 何かが転がり落ちたような音が聞こえた。
嫌な予感を感じつつ、さくらは昴の後姿を懸命に追った。


 広葉樹林の中を抜けると景色が開け、その先が崖だということが分かる。
先に着いていた昴が振り向き、叫んだ。
「さくら! 来るなッ!」
「え?」
制止され、訳も分からず立ち止まる。
その時さくらの横に影が近づいた。
昴もその気配を察知する。


 「ッ!!」」
とっさに身構え避けようとしたが、僅かに初動が遅れて左腕を掴まれた。
(ダメだ、左腹にまだ力が入らないから、どうしても避けきれない)
影の人物は左手でさくらの左腕をひねり上げ、右腕で首元を押さえつけた。
ウジンにつかまった時と同じ状況だ。

 「さくらッ!」
「日本の言葉で『飛んで火にいる夏の虫』…と言うんだろう?」
かなりの訓練を積んでいることが分かる身のこなし。そして捕まえた人質の拘束の仕方。
「オドゥムの刺客か!」
昴はさくらの首をギリギリと締め上げている男に叫んだ。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時

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