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愛しい君2 ページ38

サ———……

 雨音がほんの少し静かになったようだった。
二人で毛布に包まって、赤井はぐったりしたりおを抱きかかえていた。

 (すまない…。本当は大事にしたいのに。お前を抱くと、どうにも止まらないんだ…)
これも独占欲のせいなのか。腕の中のりおにそっとキスをした。
(どうしてこんなにも激しく求めてしまうのだろうか…)
赤井はそれが不思議でならなかった。
他の女性でこんなに求めたことは無かった。
組織への潜入などで常に気を張っていたから、どっちかと言えば淡泊な方だったように思う。
りおはなぜ? 自分をそうさせてしまうのだろうか?

 (彼女の危うさ…がそうさせるのか?
離れて暮らすようになって、余計に心配で…
壊れてしまうんじゃないかという…不安感のせいか?)
自分の腕の中で静かに寝息を立てる彼女を見ると、言い表せないほどの安心感がある。
だからこそ離れている時の不安が、自分を突き動かしてしまうのかもしれない。
「すまない…りお」
赤井は愛おしそうにりおを抱きしめた。


 外が明るくなる頃、りおは目を覚ました。
目の前にはぐっすりと眠っている赤井がいた。
どうやら完全にホールドされているらしいと気付いたのは、だいぶ時間が経ってからだ。
(暖かい…安心する…)
りおは赤井の背中に手を伸ばすと、そっと抱きしめた。
赤井の肌に頬を付ける。
トクトクトクと規則正しい鼓動が聞こえてきた。
なんだか嬉しくなって、そっと心臓のある辺りにキスをした。


「…ん…」

 小さな声が聞こえた。
(な、なに…かわいい声…)
ちょっぴり嬉しくなって、今度はチュッと吸い付いた。

「……ぅん…」

再び寝言のような声がしてドキッとした。

 見ると赤井の肌に印がついた。
(あ、しまった…。キスマーク付けちゃった。けど…まあいいか。
私のところもいっぱいつけたんだし)
お返しに自分もいっぱいつけてやろうと、イタズラ心が顔を出した。


 チュ、チュ……チュク…

 気付けば3つ、4つと赤井の肌に印を付けた。
(まずい…なんか楽しくなってきちゃった)
脇腹のあたりにチュッと少し強めに印を付ける。
すると———

「ぅッ!」

 息を詰める声がした。
「りお? 何して…」
寝ぼけ眼の赤井の顔を見て、りおはクスクスと笑った。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時

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