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アンバーの過去4 ページ35

りおは天涯孤独だったのか。
PTSDで体調を崩した時に、家族の話が一切出なかったのも頷けた。
「じゃあ、ご両親が警察官だったから、自分も警察官になろうと思ったのか?」
「ううん。それはちょっと違うわ」
りおはすぐさま否定すると目を閉じた。
赤井は黙ってりおが話し出すのを待った。


 「祖父が…亡くなる直前、話してくれたの。
『あれは事故なんかじゃない。お前の両親は殺されたんだ』って」
「そ、それはどういうことだ?」
「私も初めは何のことかさっぱり分からなかった。
でも、気になって両親の事を調べたの。
そしたら…。
父が警察官だったという証が何も出てこないの。
警察学校を卒業していることまでは突き止めたんだけど…。
でも確かに、祖父母は『父も母も警察官だ』と言っていた。
いろいろ調べて行き着いたのが、父は『公安警察』だったんじゃないかって。
だから、初めはそれを調べるために。両親の本当の姿と死の原因を探るために。
私は警察官になろうと思ったの」

 『同じだな』と赤井は思った。
自分も父親の追っていた事件の事、そして父の事を知りたくてFBIに入った。
こんなところまで共通点があるとは。
同じ思いを秘めていたことに不謹慎にも、嬉しいと思ってしまう。


 「母親の事は分かったのか?」
「それも分からないの。祖父母も母の事はあまり教えてくれなかった。
というより、良く知らなかったんだと思う。
育ての祖父母は生粋の日本人だったから、この瞳の色は母譲り。
そう考えると、母は日本の警察官では無かったのかなって」
「そうか…。ご両親の写真は残っているのか?」
「ええ。自分の家のアパートに1枚だけ。私が生まれたばかりの頃の写真が」
「今度見せてくれないか」
「ええ、良いわ」

 初めてりおの家族の事を聞いた。
自分も父親がいない生活が長いが、母親や弟妹がいた。
無条件に自分を心配してくれる家族がいる。
だがりおには頼る人も、自分を心配してくれる人もいない。
そんな中でマレーシアの組織に一人潜入していた。
ONCの仲間に心を許し、慕っていた理由は…つまり…。

 (そうか…だからあの時…)
ケンバリのアジトから連れ出した時のりおの顔。
あれはきっと仲間…いや、りおにとっては心から慕っていた《家族》を失った時の顔だったのだ。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時

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