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あの日運命が3 ページ31

 「『仲間と運命を共にする』と言って聞かなかったあなたを、無理やり連れてきた。
そして爆発を見ながら泣いているあなたの姿は、見ていて辛かったですよ。
だから…日本に帰ってきてからも、あなたの事は気になった。
また泣いているんじゃないか…ってね」

 その時は、その気持ちが後々恋愛感情にまで発展するとは思ってもみなかった。
だが今になって振り返ってみれば、初めて会った時から少しずつ惹かれていたのだろう。
自分でも気づかぬうちに。
スーパーで再会した時、それは決定的になったのかもしれない。

 「あなたはいつから、私の事を気にしてくれていたのですか?」
自分の中の変化を知って、今度はりおのことが知りたくなる。思わず問いかけた。

 「え? う〜ん…気になる存在としてなら…たぶん、『絶対に死なない』と約束をしてくれた頃からじゃないかな。
危険な潜入捜査をしていて、本当は『絶対』なんて約束できないと思ったでしょう?
でもあなたは約束してくれた。
私の為についた優しい嘘。嘘だと分かっていても嬉しかった。
その嘘にすがって生きてきた。あなたの動画を見るまでは…」
「ッ!」
約束を破ってしまった時、りおは死を選ぼうとしたことを思い出す。
昴は思わず目をそらして下を向いた。

 「博士の家にお世話になって、そこから出て行こうとした時に、死んだと思っていたあなたと再会した。
その時にはっきりと『好き』だと意識した」
りおは穏やかな笑顔を向ける。
「『好き』が『愛してる』に変わるまで、そんなに時間はかからなかったわ」
りおはふわりと昴の肩に頭を寄せる。昴もりおの肩をそっと抱いた。



 お互いにゆっくりと相手に惹かれていた、6月のあの日。
偶然の出会いが、その気持ちを決定的にした。
あの時出会わなかったら…今こうして抱き合うことも無かっただろう。
「運命…だったのかな」
昴が思わずつぶやいた。
「うん。そうかもしれないね」
りおが小さくうなずいた。



 ざわざわと木々を揺らす風が強くなってくる。
「さっきまであんなに晴れていたのに。ずいぶん雲が多くなってきましたね。
風も少し湿り気がある。夕方から夜には雨が降りそうです。
小屋までまだありますから、ちょっと急ぎましょう」
「うん、そうだね」
二人は名残惜しそうに体を離すと、小屋を目指して出発した。

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設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時

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