遭遇2 ページ27
「あのままじゃ死んじゃうわ! 止めなきゃ!」
りおは慌てて飛び出そうとする。
「ちょっと待って。殴られている男が持っているのは…あれ、お金…じゃないですか?」
「え? ホ、ホントだ。しかもあの量…。もしかして強盗犯? 強盗の仲間割れ?」
「おそらく…」
「それにしたって、あのままじゃ…」
りおがそう言いかけた時、殴られていた男が突如反撃に出た。
隠し持っていた銃を突きつけたのだ。
暴行していた男たちが銃を見て怯むと、金を持った男はスキを突いて一目散に逃げだした。
慌てて二人の男たちが追っていく。
「追いかけましょう」
昴は3人が行ったのを確認すると、りおの手を取り走り出した。
足元の悪い道なき道を走る。
枯れ葉で地面が見えないため、道の隆起が分かりづらい。
足が着地するたびに左腹部の傷に響いた。
「ッ!」
痛みで次第に左足が上がらなくなってくる。
やがてつま先が木の根に引っかかった。
「ッ! あっ!」
りおはそのまま前のめりに転倒した。
「りお!」
昴は膝をつきりおを抱き起そうとするが、りおはそれを制止する。
「昴さん! 私は大丈夫!そ れより早く行って!」
「ですが…」
「大丈夫だから!」
「分かりました」
昴が立ち上がった瞬間、
ガ———ン!
ガ———ン!
バサササッ!!
バタバタバタバタ!!
大きな音が2回聞こえる。エコーがかかったように遠くまで響いた。
驚いた鳥たちが羽音を鳴らして一斉に飛び立つ。
羽音が遠ざかると、あたりは嘘のように静まり返った。
「い、今の…銃声よね?」
「ええ。間違いないと思います」
昴はりおの手を取り抱き起こす。
音のした方へと二人はゆっくり進んだ。
200mほど行ったところで、緩く右へと下る傾斜があった。
警戒しながらさらに進むと、男が二人倒れている。
どうやら暴行していた男たちのようだ。
殴られていた男の姿はない。
「りおはここにいて下さい」
昴は辺りを見回しながら、倒れている男の元へと近づいた。
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時