プロローグ3 ページ21
「ちょっと早いですけど、昼食にしましょうか」
インターを降りて、雑誌に載っていた海鮮のお店に入った。
「りおはお刺身でダメなものがありましたよね?」
「うん。生の貝がダメなの。前にそれを食べて、ちょっとした騒ぎになりましたし…」
(番外編『ヒヤリ、ハッと』より)
そういえばそうでした…と昴もバツが悪そうに答えた。
「私この定食にするわ。火が通っていれば大丈夫だから」
「じゃあ、私は…こっちの海鮮丼にします」
メニューを決めて店員さんに伝えた。
大きな窓際に席を取り二人で座った。
高台にあるお店のため、景色が良く窓の向こうには砂浜と海が見える。
「わ〜。気持ち良さそうね〜」
浜辺では、小さな犬を連れた老夫婦が散歩をしていた。
少し離れた所では、フリスビーを投げる女性とそれを追いかける大型犬が見えた。
「さすがに泳いでいる人はいないですね」
「そうですね。でもこの辺りはサーフィンする人も多いらしいから。
波が高ければ居るかもしれないわ」
そう言って窓から昴の方へと視線を移す。
太陽の光を真横から受けたりおの瞳は、金色に光っていた。
「?!」
「どうしたの?」
「あ、いえ。あなたの瞳の色…元々アンバーで…薄いはちみつ色ですけど…。
日の光が入るとさらに色が薄くなって金色に近くなるんですね」
「え? ああ、そうかもしれません。昔よく友達にからかわれましたよ」
「外国の血が入っているのですか?」
「さあ…私…両親の事はあまり覚えていないから」
「え?」
そういえば、りおの家族の事を聞いたことが無かったと今更ながらに思った。
「それはどう…」
「おまちどうさま〜」
両親の事を聞こうとしたその時、注文した海鮮丼が運ばれてきた。
「わ〜! すごい! 美味しそうですよ。私も海鮮にすれば良かったかなぁ…。
貝だけ昴さんにあげれば良かったんだし…。でもせっかく来たのにお腹痛くなっても…」
キレイに盛り付けされた丼を見て感激しているりおに、それ以上聞けなくなってしまった。
結局お昼を食べながら、次に行く場所を相談して店を出た。
(まあ、旅は始まったばかりだし…。機会があったらゆっくり聞いてみよう)
昴はそう思い直して車を発進させた。
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時