決戦5 ページ10
対して、ウジンは相当焦っていた。
「私は左利きではないわ」
さくらは左で銃を持ったまま、構える。
「両利きなの」
そう言って残りの部下が持つ銃も次々と撃ち落とした。
「お前…! 藤枝とグルだったのか! ではギムレットの情報もガセだな?!」
ウジンは焦りを感じつつも、僅かな可能性を期待して叫ぶ。
「残念ながら、レポートの情報は本当よ。彼は自分の研究を誰にも渡したくは無かった。
レポートを消し去り、彼は死んだ」
さくらの言葉にウジンは奥歯を噛みしめる。
「くそッ! お前達ただで済むと思うなよ。
何をしている! たかが男と女一人ずつだ。とっとと殺せ!!」
ウジンの命令に、部下たち4人がに襲いかかった。
さくらは部下の攻撃を、昴に教わったジークンドーの手業で次々と弾き流す。
スキを見て相手の腹に膝蹴りを決めた。
倒れた仲間を見た部下が一瞬怯んだのを見逃さず、首元に手刀を入れるとその男も倒れた。
もう一人が近くにあった鉄パイプのようなものを持ち、振り回してきた。
さくらはその全てを避け、背中に廻し蹴りを入れる。
藤枝も部下のひとりに蹴りやパンチを決めていた。
このままではまずいと感じたウジンは、懐から銃を出しさくらを狙う。
その動きをじっと物陰で様子を見ていた昴が察知した。
ドゴーン!
ドゴーン!
一発はウジンのジャケットの左ポケットに。
もう一発はウジンの持っていた銃に当たり、弾かれた銃はカラカラと音を立てて地面を転がる。
「な、なに? もう一人仲間がいるのかッ!?」
銃を弾かれた衝撃でしびれる右手を押さえ、ウジンが叫んだ。
コンテナの上から帽子を目深にかぶった昴が飛び降りる。
ウジンを守るように立っていた部下2人をあっという間に倒した。
「ひ、引け! 引くんだ!!」
ウジンが叫び、部下たちがよろめきながら一斉に出口に向かって走り出す。
それを見て昴は装着したインカムで「Get ready!」と指示を出した。
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時