検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:110,085 hit

心は丸く磨かれて1 ページ1

 
 送信完了のPC画面を見て、昴もふぅと小さなため息を漏らした。
やはり自分の仲間の安否は、気になっていたのだろう。

 「お前さんたち、似た者同士だな。いや、一緒にいると似てくるのかな」
二人を見ていた藤枝がニヤリと笑う。
『似てる?』
二人で顔を見合わせた。

 「ははははは! そういうところだよ。
顔を見合わせるタイミングも、安堵で緩む顔も緊張でこわばる顔も。
お互いの心が近い時シンクロするんだ。
そういう時が一番…幸せな時だよ」
最後の言葉は寂しげに響いた。
「弁当ごちそうさん。うまかったよ。ここ最近栄養ゼリーや菓子パンみたいなモンしか口にしていなかったから、ありがたかった」
どう致しましてと言えない代わりに、さくらは笑顔で応えた。
『次はこの幹部と会う段取りをしないと』
さくらは筆談で藤枝に伝えた。


 「ああ、だがその前に」
『?』
「お前、失声症だといったな。原因は何だ? エミリーの事か?」
突然の質問にさくらは驚き、どう答えるか分からないまま下を向いた。
それを見て昴が代わりに答える。
「彼女の失声症の原因は複雑に色々な事が絡み合っていますので…」

 だが藤枝はそんなことは意に介さず質問を続ける。
「エミリーの前には直近に何を見聞きした?」
『刺客の遺体』
「腹の傷を負った時か?」
さくらはうなずいた。
「刺客の遺体、エミリーの死、それが直接的な原因と言って良いか?」
下を向くさくらを見て、「もう一つ…」
昴が口を開く。


 「もう一つ?」
「先日私は彼女の目の前で、強盗に肩を切りつけられました」
さくらの体がピクリと動いた。
藤枝はそれを見逃さなかった。
「なるほど。好きな男が目の前で切り殺されそうになったって事か」
合点がいった、というように藤枝が何度かうなずいた。

 「それで。お前はその時の感情をどうした?」
『え?』
「この男にすがって泣いたか?
生きてて良かったとか、なんで切りつけられてるんだとか、お前の心の中から湧き出る感情をぶつけたか?」
さくらは首を横に振った。
『ただ吐き気がひどくて…昴さんが治療中はトイレでずっと吐いていた』
「そうか…。治療が終わった後は?」
「泣いて…自分で自分を責めるように謝罪を繰り返すだけでした」
昴がその時の事を思い出すように語った。

心は丸く磨かれて2→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
123人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:aki | 作成日時:2020年1月3日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。