動き出したオドゥム4 ページ48
映像が切り替わり、成田空港のようだ。
預けていたケースを受け取る。ケースには『E』というアルファベットが見えた。
映像は荷物の受け取りから途切れることなく、空港内のコインロッカーに入れられた。
「これでエミリーの遺骨が日本に来ている事を信じてもらえたかな?
君と会う時はこのコインロッカーのキーを持っていくよ。
私たちが欲しいのは情報とラスティーの命。それさえ頂ければ、このキーは君にあげよう。
君からの連絡を待っているよ」
映像はそこで終わった。
さくらは自分のPCを使い、映像を解析する。特に不自然なところはない。
解析中、藤枝はりおが作ったお弁当をほおばっていた。よほど空腹だったらしい。
「私たちの動画を見て、昨日の最終便に乗ったようですね…。
ロッカー内にあるのはエミリーの遺骨と見て間違いないでしょう。
この後すり替えられる可能性も低いでしょうね。遺骨自体にオドゥムは執着がないですし。
まあ、生きているあなたに鍵を渡すつもりはないでしょうけどね」
昴がPCの画面を見つめたまま言った。
もぐもぐと咀嚼しながら藤枝も、多分そうだろうなとつぶやいた。
「さて、次はどうしますか?さくら」
昴がさくらの顔を見る。
『まずはFBI捜査官の救出ですね。国際問題になることを恐れたのか、二人を殺さずに山中に
放置していました。
映像から場所を割り出します』
そう手話で返事をすると、軽快にキーボードを叩く。
放置された時の映像を画面に出すと、捜査官の奥に写り込んだ道路標識を拡大し、書かれた
文字をピックアップする。
道路名と地名が読み取れた。
ネットに繋ぎ、K国の地図を開く。
道路名と地名を検索すると、ダム湖近くの山中だと分かった。
だが、オドゥムからの映像を見てすぐのこのタイミングで、大掛かりな捜索をすることは出来ない。
藤枝と警察がつながっていると取られかねないからだ。
捜査官ふたりが放置された後どう動くか、さくらは考えた。
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作者名:aki | 作成日時:2019年11月18日 13時