アンバーの作戦4 ページ44
しばらくするとさくらの意識がはっきりしてくる。
『大丈夫』と唇が動いた。
さくらはなんとか自力でシャワーを浴び、昴がキズの手当をしてくれた。
その間に藤枝は動画を確認する。
さらに昴とも最終確認をして本文となるメールを書く。
それに動画を添付し、先日指令を送ってきた相手に送信した。
送信完了の文字を見て、藤枝が大きなため息をついた。
手当をしてもらって、着替えを済ませたさくらは藤枝が思っていたよりずっと元気な様子だった。
「本当に大丈夫なのか?」
心配そうな藤枝にさくらはニッコリ微笑む。
『ちゃんと避けていましたから』
ノートに書かれた文字をみて、藤枝は目を丸くした。
「とりあえず、今日は帰って休みましょう。明日は差し入れでも持ってきます。
くれぐれも部屋から出ないように」
昴は藤枝に注意を促す。
「ああ。分かっている」
さくらは簡単な変装をして、ホテルの部屋を出た。
地下駐車場の昴の車に乗り込むと工藤邸へと戻った。
家へ着いたのは間もなく日にちが変ろうという時刻だった。
昴はりおを支えながら、部屋まで連れて行く。
確かに急所を避けてはいたが、リアリティーを出すために、拳や膝は体を痛めつけるほど強く
当たっていた。
おかげで、体はアザだらけだった。全身痛いはずだ。
「また無茶をしましたね」
二人でベッドに腰掛け、りおの顔を見る。
『心配かけてごめんなさい』
りおは手話で謝罪した。
「お前が暴行を受けるところなんて、…見たくなかったよ」
変装を解きながら、赤井は深いため息をついた。
何度止めに入ろうと思ったことか。
藤枝がいたため冷静を装っていたが、内心は動揺しっぱなしだった。
『何も知らせずにボコボコで帰ってきた方が怒ったでしょう?』
「まあ、そうだが…。お前の提案以外に良い案を出せない俺もいけないな。
お前のむちゃくちゃな提案が、いちいち理にかなっているのも少し腹が立つ」
言いながら、不機嫌な顔をりおに向けた。
『頑張れFBI!』
りおは手話で示しニッと笑う。
「言ったな!」
りおを押し倒すようにして、ベッドにダイブした。
二人でベッドに横になったまま、赤井はそっとりおの頬に触れる。
「キレイな顔が少し腫れている…。冷やしたほうが良さそうだ」
ちょっと待ってろ、とだけ言うと赤井は部屋を出て行った。
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作者名:aki | 作成日時:2019年11月18日 13時